サービスの違いはネットワークにあり
テレビ向けとパソコン向けでサービス内容に違いがあるのはなぜだろう?
この疑問を解消すべく,ソフトバンクを訪ねた。同社は,配下のビー・ビー・ケーブルとソフトバンクBBが,それぞれテレビ向けの「BBTV(ビー・ビー・テレビ)」とパソコン向けの「TV Bank(テレビバンク)」を提供している。テレビ向けとパソコン向けのサービスの違いにも詳しいはずだ。
ビー・ビー・ケーブルの取締役でソフトバンクBBのコンシューマ・マーケティング本部長でもある中川具隆(なかがわともたか)さんに両者の違いを聞いてみたところ,「配信するためのネットワークが違います」という答えが返ってきた(図3[拡大表示])。
中川さんによると,BBTVのコンテンツはYahoo!BB(ヤフービービー)の会員がつながる網内だけで配信している。この網内は,ソフトバンク側で通信を制御できるので,高速で安定した通信を維持できる。そのため,2M~4Mビット/秒のMPEG-2(エムペグツー)*で圧縮した高画質な映像を配信できるという。実際にテレビに出力した映像を見せてもらうと,地上波のテレビかと思うほど鮮明だった。
これに対してTV Bankはインターネットを使う。契約するプロバイダに関係なく誰でも利用できるのが特徴だ。ただ,ユーザーによって通信環境が異なるため,大容量のコンテンツを常に安定して配信できる保証はない。そこで,MPEG-2よりも圧縮率が高いWMV形式*で動画を圧縮し,BBTVより低速の500k~1.5Mビット/秒で配信している。
また,TV BankはBBTVよりもコンテンツ数が少ない。これは,インターネットを使うTV Bankでは,通信経路上で不正コピーされるかもしれないという不安が権利者やコンテンツ提供者側にあり,コンテンツが集まりにくいというのが理由のようだ。
こうした違いはBBTVとTV Bankに限ったことではない。テレビ向けとパソコン向けそれぞれのサービスの一般的な特徴と言える*。
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