写真1 リーナス・トーバルズ氏
写真提供:OSDL(オープン・ソース・デベロップメント・ラボ)

図1 ディストリビューションの内容構成
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写真2 リチャード・ストールマン氏
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 「インストールしてみたけど,使い方が分からず途方に暮れた」「本を読んだけど,難しくて理解できなかった」「操作手順だけでなく,基本的な仕組みを知りたい」...。こうした意見にこたえるため,“Linuxの基本”を説明するコラムが復活しました。実際にLinuxを操作しながら,基本操作と仕組みに関する知識を身に付けましょう。

 Linuxは,コンピュータやデジタル機器のオペレーティング・システム(以下,OS)として,幅広く普及しています。携帯電話から大型汎用コンピュータ(メーンフレーム)まで,さまざまなシステムでLinuxが使われています。

 ヘルシンキ大学の学生だったリーナス・トーバルズ氏(写真1)は,1991年春にLinuxの開発を始めました。リーナス氏は,UNIX互換OSであるMINIXに触発されて,Linuxの開発を始めました。MINIX,そしてLinuxのお手本になったUNIXは,1960年代末から1970年代前半にかけて米AT&T(当時)のベル研究所で開発されたものです。当時は汎用コンピュータ全盛でしたが,UNIXは汎用コンピュータのOSとは全く異なる思想に基づいて開発され,移植性が高かったことなどから各種コンピュータで使われるようになりました。

 UNIXを見習って開発されたLinuxは,後で述べるようなUNIXの特徴あるいは機能をそのまま引き継いでいます。さらにLinuxは個人でも入手しやすいパーソナル・コンピュータ(以下,パソコン)上で動作したことや,オープンソース・ソフトとしてインターネットで公開され,だれもが入手できたことから,数多くの開発者の賛同を得,最終的には今日のように幅広いコンピュータおよび機器で採用されるまでに至っています。

 ちなみに,リーナス氏は現在,Linux普及促進を目指して2000年に設立された非営利団体OSDLのフェロー(特別研究員)として,Linuxの開発にフルタイムで取り組んでいます。

伝統的な使い方を学ぶ

 この記事では,Linuxの基本的な仕組みと使い方を説明していきます。

 Linuxのグラフィカル・ユーザー・インタフェース(GUI)は機能拡張されるごとに,Windowsの操作性に近付いてきました。そのため,Linux上のGUIを使えばかなり簡単に,言い換えればWindowsと同じくらい容易に,さまざまな操作が行えます。そのため,使用目的がWebブラウザによる情報の閲覧や電子メールの交換程度なら,(インストールさえきちんと終了すれば)すぐにLinuxを使用できるでしょう。

 しかし,もっと踏み込んでLinuxを活用するには,UNIXから引き継いだ伝統的な使い方を学ぶ必要があります。例えば,Webサーバーやファイル・サーバーを構築する,あるいはこれらのサーバーを遠隔操作するといった場合には,GUIベースよりもコマンドラインからの操作の方が細かく操作でき,いざというときに困りません。

 そこでこの「再入門」では,UNIXから引き継いだ伝統的な使い方を重視してLinuxを紹介していきます。実際にさまざまなコマンドを実行しながらLinuxの使い方を“体で覚える”ようにすれば,その仕組みに直接触れることにもなるので“Linuxの基本”が身に付きやすいでしょう。