最近は,連絡先として住所や電話番号のほかに,電子メールやWebページのアドレスを伝えることが増えてきました。このWebページのアドレスは,「http://nnw.nikkeibp.co.jp/」のように書きます。Webブラウザのアドレス欄に表示されるのも,このアドレスです。よく見ると,頭に「http://」が必ず付いています。これは,いったい何なのでしょうか。

「http://」はアドレスじゃない

 前半のhttpには,ピンと来た人もいるでしょう。これは,HTTP(ハイパーテキスト・トランスファ・プロトコル)というWebページのデータを転送するために使う手順(プロトコル)を表しています。Webブラウザも,Webサーバー・ソフトも,HTTPというプロトコルに従って動きます。

 実は,「http://」はアドレスそのものに関する情報ではありません。Webブラウザに「HTTPの手順に従って動作しろ」と命令しているのです。Webブラウザに入力するWebページのアドレスのうち,「://」よりあとの部分(nnw.nikkeibp. co.jp/)が,実際のWebページのアドレスになります。

 Webブラウザは,もっぱらHTTPを使ってWebページを表示するため,HTTP専用のソフトだと考えられがちです。しかし,ファイル転送の手段であるFTP(エフティーピー)や,コンピュータを遠隔操作するTelnet(テルネット)など,HTTP以外のプロトコルも使うことができます。

 相手側のサーバーがFTPに対応している必要がありますが,「ftp://(相手のサーバーのアドレス)/」と入力すれば,WebブラウザはFTPの手順に従った動作をします。アドレス欄を変えるだけで,Webブラウザは,まったく違う動作をするのです。

 「://」のうち,「:」は使用するプロトコル名と,通信する相手を特定するアドレス情報を区切るためのものです。「//」は各プロトコルで必要な設定情報の始まりを表しています。

「〒」を思い浮かべれば理解しやすい

 このように,実際のアドレスと,アドレスへの接続方法を一体化して表す表記方法をURL(ユーアールエル)(ユニフォーム・リソース・ロケータ)といいます。URLは,接続手段やサーバーのアドレスに加えて,サーバーの中のフォルダやファイル名,必要な場合はユーザーIDやパスワード,あて先ポート番号も指定できます。

 例えば,日経NETWORKのWebページのURLはhttp://nnw.nikkeibp.co.jp/nnw/index.htmlです。これは,HTTPを使って,nnw.nikkeibp.co.jpというアドレスにあるWebサーバーの,「nnw」フォルダにある「index.html」というファイルを持って来いと命令しているわけです。

 URLの考え方は,私たちの身近な所でも見ることができます。例えば,1020093という数字だけでは(だいたいの推測はつくのですが),電話番号なのか社員番号なのか,判別できません。しかし,「〒1020093」とすると,これは東京都千代田区平河町の郵便番号であると明確にわかります。最初の「〒」によって,次に続く数字が,郵便を届けるための住所であると宣言しているのです。URLも同じように,最初の「http://」で,次に来る文字列がHTTPで通信するための相手先であると宣言しています。Webブラウザはプログラムですから,だいたい推測できるというレベルの情報を基には動作できないのです。

 ただし,多くのWebブラウザでは,アドレスだけを直打ちすると,自動的に「http://」を補うようなしくみが備わっています。http://は,かなり「おまじない」の色が濃くなっているのは事実でしょう。