図1●フィルタの使用例と設定方法
図1●フィルタの使用例と設定方法
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図2●ブレンドを使って画像を重ね合わせた例
図2●ブレンドを使って画像を重ね合わせた例
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図3●ビデオ映像を読み込んで,別ウィンドウに表示させた例
図3●ビデオ映像を読み込んで,別ウィンドウに表示させた例
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図4●画像に被せたテキストにエフェクトをかけた例
図4●画像に被せたテキストにエフェクトをかけた例
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図5●トゥイーンの動きを細かく指定できる
図5●トゥイーンの動きを細かく指定できる
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図6●線のエッジの形状や,拡大する際の表示方法を指定できる
図6●線のエッジの形状や,拡大する際の表示方法を指定できる
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表1●Flash 8の主な新機能。「Proのみ」とあるのはFlash Professional 8の新機能で,Flash Basic 8では使用できません
表1●Flash 8の主な新機能。「Proのみ」とあるのはFlash Professional 8の新機能で,Flash Basic 8では使用できません
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 今やインタラクティブ・コンテンツ制作ツールの代名詞となった感のある「Macromedia Flash」。2005年10月12日にはマクロメディアが最新版である「Flash 8」の販売を開始しました。Flash 8には通常版である「Flash Professional 8」(8万8200円,税込)と,低価格版の「Flash Basic 8」(2万6250円,税込)があります。Flash Professional 8は主にビデオ映像や特殊な効果を使った高度なムービーを制作する人向けで,Basic 8は文字通り入門者向けです。

 この記事では新バージョンのFlash 8で,前バージョンであるFlash MX 2004とどこが変わったのかを中心にご紹介します。Professional版に関する記述が多くなりますが,従来のFlashアニメーションを作るだけであればBasic 8でも十分です。

 表1[拡大表示]に主な新機能をまとめてみました。それぞれについて見ていきましょう。

その1 ドロー系ソフトのようなフィルタ/ブレンド機能

 フィルタは,あるオブジェクトに影を付けたり,ぼかしたりといった効果を付加する機能です。Flash 8では,任意のインスタンス(オブジェクト)に対して,フィルタによる効果を直接かけることができるようになりました(図1[拡大表示])。

 ブレンドは,インスタンスを重ね合わせた際に,インスタンスの色と,下にある色とを様々に混ぜ合わせて表示する機能です。文章で説明してもわかりにくいかもしれませんが,図2[拡大表示]を見ていただけば一目瞭然でしょう。

 従来はPhotoshopのような別のドロー系ソフトで効果を付けた絵を作成し,それをFlashに取り込んで利用していましたが,その作業をFlash単体で簡単にできるようになりました。アプリケーションを切り替えなくても済むので,思考を中断することなく,スムーズに作業を進められます。

その2 より手軽になったコンテンツ作成

 avi形式,mpeg形式,mov形式などのビデオ形式のファイルを,Webでの配信に適したファイル形式にエンコードし,Flashムービーに取り込むことがとても簡単になりました(図3[拡大表示])。従来は作成が難しかった映像コンテンツも手軽に作成できます。

 ビデオ映像は自由に再生・停止のコントロールができることはもちろん,アルファ・チャンネルのサポートにより,ビデオ映像とほかの画像をきれいに重ね合わせて表示できます(図3*1。ActionScriptと組み合わせれば,ユーザーの操作に応じてビデオ映像に動的にエフェクトをかけることも可能になりました。

その3 見やすく,扱いやすくなったテキスト周り

 テキストの表示も強化されました。「読みやすさ優先」「表示優先」というように,文字の縁をはっきりさせて読みやすく表示したり,逆に文字のふちの周りをぼかして見た目を良く表示したりといった設定ができます。テキストにもフィルタを適用できるので,文字に「グロウ」フィルタをかけて,画像上に映画の字幕風に表示するのも簡単です(図4[拡大表示])。

その4 オブジェクトごとにやり直しできるアンドゥ

  操作面でうれしいのは,設定によりオブジェクトごとに管理できるようになったアンドゥ機能です。アンドゥ/リドゥの履歴は,Flashドキュメント全体で管理されていたため,「あのオブジェクトだけを元に戻したいんだけど…」と思っても,ほかの操作まで元に戻さなくてはいけませんでした。Flash 8ではオブジェクトごとにアンドゥ/リドゥを管理できるようになったので,個々のオブジェクトの作成に集中できます。

その5 トゥイーンの動きを細かく制御できる

 アニメーション作成の際の便利な強化点は,カスタム・イージング機能です。従来から用意されているトゥイーン機能の動きを,より細かく制御できるようになりました。

 トゥイーン機能は,最初と最後の状態(インスタンスの位置や形など)を指定すれば,間のアニメーションを自動的に生成してくれる機能です。しかし,変化に富んだ動きを付けたいときには動きを変化させたい個所で区切り,それぞれの区間で個別にトゥイーンの設定をする必要がありました。

 Flash 8では,新たに搭載されたカスタム・イージング機能を使うことにより,始点と終点さえ決めれば,区間内の速度や位置の変化はグラフで細かく設定できます(図5[拡大表示])。「一気に加速し,ちょっと戻って停止した後,再加速して目的の位置まで到達させる」といった細かい動きの設定も簡単です。

その6 線のエッジの形状や伸縮方法を指定できる

 従来のFlashで線を描くと,エッジ部分はこれまですべて丸みを帯びた状態になっていました。Flash 8では,きりっとエッジの効いた状態で表示したり,いままでどおり丸みを帯びた状態で表示したりといった設定が可能となりました(図6(a)[拡大表示])。

 またこれまで,線を使ったオブジェクトは,ムービーを拡大すると,線もそれに応じて太く拡大されて表示されていました。これで構わない場合もあるのですが,コンテンツによっては少々不自然になってしまうこともあります。Flash 8では線の拡大・縮小の処理を一つひとつ指定し,制御できるようになりました(図6(b))。

その7 ビットマップ・キャッシュで速度を向上

 実行速度の面でうれしい強化点は,よく表示するであろう画像をメモリー内にキャッシュできるようになった,ビットマップ・キャッシュ機能です。背景として使用したい画像や,たくさんの数を流用したい小さなインスタンスの画像をキャッシュすることによって,かなりの速度向上が期待できます。

☆      ☆      ☆

 Flash 8はビットマップ周りの扱いが劇的に変わったほか,処理面での細かな変化がたくさんあります。30日間使える無料トライアル版をhttp://www.macromedia.com/jp/downloads/からダウンロードできますので,一度Flash 8の使い心地を試してみてはいかがでしょうか。きっと楽しいですよ。