図 無線メッシュ・ネットワークはアクセス・ポイント同士で無線のバックボーンを構成する
図 無線メッシュ・ネットワークはアクセス・ポイント同士で無線のバックボーンを構成する
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 無線メッシュ・ネットワークとは,無線LANのアクセス・ポイント同士をメッシュ状に結び,それらの間で自律的に伝送路を構築する無線のバックボーンのことである。無線LANで必要な配線コストをほとんど省くことを狙った新しいタイプの無線LANとなる。

 無線LANは,クライアントとアクセス・ポイントの通信を無線化することで,クライアントをLANケーブルから解放した。ところが,アクセス・ポイント自体は有線のバックボーンにLANケーブルで直接つながなければならない。その配線コストは相変わらず高いままだった(図の左)。
 
 これに対し,無線メッシュ・ネットワークではアクセス・ポイント同士を無線でメッシュ状に結び,無線のバックボーンを構築する。このため,有線のネットワークと直接つなぐアクセス・ポイントは1台だけでよい(図の右)。

 無線メッシュ・ネットワーク対応のアクセス・ポイントは,米ストリックス・システムズ,米トロポス・ネットワークス,米ノーテルネットワークスなどが以前から製品化している。従来製品は日本国内の屋外向けの帯域として2.4GHz帯しかサポートしていなかった。そこへ,4.9GHz帯および5GHz帯をサポートした対応製品をノーテルが2005年12月,ストリックスが2006年1月と相次いで発売した。

 無線メッシュ・ネットワークは,“メッシュ”といいながらも,実際のデータをやりとりする経路はツリー状に構成する。つまり,LANスイッチを使った有線ネットワークと同じツリー状のネットワーク構成を,そのまま無線で実現している。ただし,その経路は一定ではなく,電波の環境などによって常に変化する。

 例えば,ストリックスの製品は,有線ネットワークまでに経由するアクセス・ポイントの台数や電波の強度などの情報に基づいて,適切な接続相手を選ぶようになっている。もし使用中の経路の無線環境が悪くなると,アクセス・ポイントは待機中の別の経路に自動的に切り替える。こうしたしくみによって,通信の遅延を小さくし,同時にスループットを大きくできる。