図1●フォームアプリケーションを新規開発する際に使う開発環境の画面
図1●フォームアプリケーションを新規開発する際に使う開発環境の画面
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表1●Flashの開発環境の各機能に該当するVisual Basic(VB)/VBA(VB for Applications)の機能
表1●Flashの開発環境の各機能に該当するVisual Basic(VB)/VBA(VB for Applications)の機能
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 最近,インターネット上で滑らかなアニメーションや,Windowsアプリケーションのような動きをするコンテンツを見る機会が増えてきています。ご存じの方も多いと思いますが,これらのコンテンツの多くは,マクロメディア(http://www.macromedia.com/jp/)のMacromedia Flash*1というソフトを使用して作成されています。

 一般に,「Flash=Web用アニメーション制作ツール」とみられがちですが,実はこのFlash,プログラミング・ツールとして見てもなかなか面白いのです。Flashが備えるスクリプト言語ActionScript*2でプログラミングをすることによって,さまざまなアプリケーションを開発できます。特に,2003年11月発売のFlash MX Professional 2004では,プログラムを記述するためのユーザー・インタフェースが別に用意され,各種GUIコンポーネントまで備えています。「プログラマさん,こちらへ来て,一緒にFlashで開発してみませんか?」と誘っているようですね。

 ということで本日から,Macromedia Flash MX Professional 2004(以下,単にFlashと呼びます)を使ったアプリケーション開発について解説していきます。今回は,新機能である「フォームアプリケーション」開発を通してFlashの開発環境に慣れていきます。フォームアプリケーションはWindowsアプリケーションと同様に,フォーム(台紙)の上にテキストボックスやボタンなどのコンポーネントを並べて作成するアプリケーションです。この記事を読み終えた皆さんは,「Flashはアニメーションを作成するためのソフト」というイメージが一変していることでしょう。

まずは開発環境の画面を眺めてみよう

 まずはFlashを起動して,開発環境の画面を眺めてみましょう。Flashをお持ちで無い方は,マクロメディアのWebサイト(http://www.macromedia.com/jp/downloads/)から無償トライアル版*3を入手できます。図1[拡大表示]は,起動直後の画面中央に現れるウィンドウで[新規作成]から[フォームアプリケーション]を選択するか,ウィンドウ上部のメニューで[ファイル]-[新規]-[フォームアプリケーション]と選択したときの画面です。

 左上部の[スクリーン]パネル*4ではフォームの追加/削除をしたり,後述するステージに表示するフォームを選択します。[スクリーン]パネルで選択したフォームの内容は,お隣のステージに表示されます。ステージの表示内容が,Flashで作成したアプリケーションを実行したときに表示される画面になります。ステージには,文字や絵のほか,ボタンやテキストボックスのようなコンポーネントを配置できます。[スクリーン]パネルやステージで対象(フォームや各種コンポーネントなど)を選択すると,下の[プロパティ]パネルにその対象のプロパティ(property:属性)が表示されます。プロパティの値はこのパネル上で取得/変更できます。

 右側の[コンポーネント]パネルに目を移すと,ボタンやテキストボックスなどいろいろなコンポーネントが用意されているのを確認できます。その下の[コンポーネントインスペクタ]パネルは,コンポーネントのパラメータ設定を行うパネルです。

 Flashが備えるスクリプト言語であるActionScriptのコードを記述する場所は[アクション]パネルです。[アクション]パネルが表示されていない場合には,マウスで対象を指定したうえで,ウィンドウ上部のメニューで[ウィンドウ]-[開発パネル]-[アクション]と選択するか,ショートカットキーである[F9]キーを押します。[アクション]パネルは,スクリプトペイン,[アクション]ツールボックス,スクリプトウィンドウの三つで構成されます。コードを記述するのはスクリプトペインです。[アクション]ツールボックスはActionScriptで利用できる演算子,キーワード,オブジェクトなどの“辞書”になっており,ダブルクリックやドラッグアンドドロップでスクリプトペインにコードを入力できます。スクリプトウィンドウでは,フォーム内でのコードの記述個所をエクスプローラ風に表示します。

 これらのパネルを,プログラマの方に馴染みが深いVisual Basic(VB)やVBA(Visual Basic for Applications)の開発環境と比較してみました(表1[拡大表示])。ぱっと見たときに,VBとはずい分違っているなと感じた人も,案外似ているなと思われるのではないでしょうか。


つづく…

吉岡 梅(よしおか うめ)
山梨県在住のソフトウエア開発者。

◆下記のURLから,サンプル・プログラムを無償ダウンロードできます
http://software.nikkeibp.co.jp/software/download/down04c.html#200404