●受験生を意識してリニューアル<BR>中央大学のWebサイト。受験生などを対象にしたグループインタビューの結果を反映して、2005年9月にWebサイトをリニューアルした
●受験生を意識してリニューアル<BR>中央大学のWebサイト。受験生などを対象にしたグループインタビューの結果を反映して、2005年9月にWebサイトをリニューアルした
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●大学サイトに不可欠な要件
●大学サイトに不可欠な要件
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●最もサイトが使いやすいのは中央大学&lt;BR&gt;大学サイトの使いやすさに関する日経BPコンサルティングの調査「全国大学サイト・ユーザビリティ調査2005」(2005年12月発表)の上位大学。Webサイトの構造や情報、問い合わせへの対応など全51項目を100点満点で調査している。詳細は、http://consult.nikkeibp.co.jp/consult/release/uni051214.html
●最もサイトが使いやすいのは中央大学<BR>大学サイトの使いやすさに関する日経BPコンサルティングの調査「全国大学サイト・ユーザビリティ調査2005」(2005年12月発表)の上位大学。Webサイトの構造や情報、問い合わせへの対応など全51項目を100点満点で調査している。詳細は、http://consult.nikkeibp.co.jp/consult/release/uni051214.html
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 受験生の確保を目的に、Webサイトの大幅なリニューアルを実施する大学が相次いでいる。この背景にあるのは、少子化による受験者数の減少だ。日本私立学校振興・共済事業団の調査では、2005年度の私立学校の入学状況は、29.5%の大学、41.3%の短大が定員割れだった。文部科学相の諮問機関である中央教育審議会は、2007年度には大学・短大の志願者数が総定員を下回る「全入時代」に突入すると予測している。

 ここ数年で、大学サイトが受験生の志望校選択の大きな要素になったことも、大学のサイト重視に拍車をかけている。静岡大学情報学部が2005年度の新入生を対象に実施した調査では、パンフレットや受験雑誌、オープンキャンパスといった手段で大学の情報を入手していた学生がそれぞれ3割程度だったのに対して、Webサイトから情報を入手していた学生は8割弱に達していたという。

 日経BPコンサルティングは2005年12月、大学サイトの使いやすさに関するランキング調査の結果を発表している(右上図[拡大表示])。この調査で1位になった中央大学は、2005年の2月から3月にかけて、受験生やその親を対象にグループインタビューを実施。中央大学の調査であることを伏せて、複数の大学のWebサイトを利用してもらい、情報の中身やサイトの使いやすさの評価を聞いたという。その後、この結果を反映して、2005年9月にWebサイトをリニューアルしている。

Webガバナンスが必要

 受験者数の増加につなげるには、Webサイトで受験生にきちんと情報を伝えることが重要。そのために必須と考えられることを、下の図にまとめた。

 もっとも、大学では学部や学科などが独自のWebサイトを構築していることが多く、こうした対策を進めるのは容易ではない。研究所や病院など、関連組織の多い大規模な大学となると、なおさらだ。ただ、そういった状況だからこそ、Webサイト全体を統一的に管理する「Webガバナンス」を実現してWebサイトの改善を進めれば、受験生の確保で、ほかの大学に差をつけられる。

 ランキングで4位に入った東海大学は、2005年11月に3000万円程度の費用を掛けて約5500のWebページを一斉に書き換えるリニューアルを実施している。これを実現できた背景には、トップダウンの決定がある。東海大学は、北海道東海大学や九州東海大学なども併せて、学校法人東海大学が運営している。学校法人東海大学の経営方針を決定する常務理事会が2005年冒頭に、受験生の確保を念頭にWebサイトに力を入れるという方針を決定。「戦略的広報としてお金を投じることになった」(学校法人東海大学 学務局広報部広報課の篠原正明課長)。

 大阪教育大学も、こうした統括管理の体制を整えている。同大学は、2004年4月の独立行政法人化に合わせて、Webサイトをリニューアル。Webサイトの情報やデザインに関するガイドラインを策定し、トップページから2階層目までは、サイトの総括責任者が管理運営している。また、留学生の確保を意識して、英語と中国語のWebページも用意している。

 Webガバナンスを実現して、きちんとしたサイトを構築できれば、さまざまな分野で大学の情報発信力が向上する。共同研究や産学協同など、外部との連携の推進にも寄与するだろう。これからは、Webサイトの出来が、大学のブランド価値や競争力を大きく左右するようになるに違いない。