●心臓部は小指の爪ほどのLED<BR>従来プロジェクターは、光源に大型の水銀ランプを採用していた。現在各メーカーが開発を進めるのは、極小の発光ダイオード(LED)を採用した製品。光源ユニットが小さいため、きょう体の小型化がしやすい。写真は、米LumiledsのLED
●心臓部は小指の爪ほどのLED<BR>従来プロジェクターは、光源に大型の水銀ランプを採用していた。現在各メーカーが開発を進めるのは、極小の発光ダイオード(LED)を採用した製品。光源ユニットが小さいため、きょう体の小型化がしやすい。写真は、米LumiledsのLED
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●電源ケーブルなしでプレゼン可&lt;BR&gt;LEDには、ランプに比べて消費電力が小さいというメリットもある。おかげで、バッテリー駆動も難しくない。東芝の製品の場合、2時間の連続投射が可能だ
●電源ケーブルなしでプレゼン可<BR>LEDには、ランプに比べて消費電力が小さいというメリットもある。おかげで、バッテリー駆動も難しくない。東芝の製品の場合、2時間の連続投射が可能だ
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●メーカー各社が続々と開発へ&lt;BR&gt;海外では、米三菱電機や韓国サムスン電子も出荷済み。ほかにも、セイコーエプソン(写真)などが開発を進めている
●メーカー各社が続々と開発へ<BR>海外では、米三菱電機や韓国サムスン電子も出荷済み。ほかにも、セイコーエプソン(写真)などが開発を進めている
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●サイズははがき大、重さは565g
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 東芝が2月中旬に発売する「TDP-FF1A(J)」というプロジェクターが注目を集めている。その理由は大きさ。プレゼンに欠かせないプロジェクターだが、小型の製品でもちょっとした辞書並みの大きさがある。TDP-FF1Aの大きさはその半分以下、手のひらにも乗ってしまうほどなのだ(右写真[拡大表示])。推定実勢価格は10万円前後。

 小型化のカギは光源に発光ダイオード(LED)を使ったこと(下図[拡大表示])。東芝がTDP-FF1Aに使ったLEDの大きさは小指の爪ほどだ。従来のプロジェクターは光源に水銀ランプなどを使っており、その大きさは小さくても卵大。プロジェクター内部で大きな容積を占めていた。

LED光源はいいことづくめ

 開発担当者は、LEDを「理想の光源」と評する。小さいこと以外に、様々な点で従来のランプより優れているという。まず、点灯が早い。電源オンの数秒後には投影を始められる。次に、消費電力が小さい。ランプを用いた製品は、消費電力が数百W。これに対しLEDを活用すると、数十Wで済む。バッテリー駆動も難しくなく、実際東芝の製品は、ケーブルレスで2時間投影できる(下写真[拡大表示])。

 発熱が少ないこともメリット。冷却せずに済むのでファンが不要、動作音も静かにできる。また、使用後、冷ます必要がないのですぐに片づけられる。もっと言えば、LEDは数万時間と発光寿命が長く、ランプ切れの心配が少ない。水銀ランプの場合、数千時間ごとに交換しなければならない。

 いいことづくめのLED。もちろん、東芝以外のメーカーも見逃すわけがない。三菱電機の米国法人は昨年、米国でテスト販売を開始。韓国サムスン電子も今年に入って製品の出荷を始めた。研究段階ではあるが、セイコーエプソンと三洋電機も開発を進めている。

 気になるその実力を知るべく、TDP-FF1Aとセイコーエプソンの試作機の投射映像を見てみた。感心したのは、赤と青の美しさである。ランプ光源の製品より明らかに発色が良い。セイコーエプソンによると「色度図と呼ぶ発色の傾向を示すグラフによると、LEDの色再現性は優秀」という。

 唯一の欠点が明るさだ。照明をつけた会議室で使うことを想定した一般的なビジネス向けプロジェクターの明るさは、暗いとされる製品でも1000ルーメン前後。ところがLED光源プロジェクターの明るさは15~20ルーメン。真っ暗な部屋であれば、70インチ程度まで拡大しても鑑賞できたが、明るい部屋ではほとんど見えなくなる。TDP-FF1Aは、視野角を狭める代わりに反射率を通常より高めた23インチの専用スクリーンを同こん、この問題をカバーしている。専用スクリーンを使えば明るい部屋でも使えるようにはなる。小さな打ち合わせスペースでのプレゼンなら問題なさそうである。

 ただ、明るさの問題は、時間が解決してくれそうだ。「毎年、倍々で明るさが上がってきているのが昨今のLED技術」(東芝)という。数年後、手のひらサイズのLEDプロジェクターが市場を席巻している可能性は高い。