図1 Webアクセスには基本的なしくみだけでは説明できない現象がたくさん<BR>HTTPの基本的なしくみはとても簡単だ。しかし,それだけでは説明できない現象がいろいろある。
図1 Webアクセスには基本的なしくみだけでは説明できない現象がたくさん<BR>HTTPの基本的なしくみはとても簡単だ。しかし,それだけでは説明できない現象がいろいろある。
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 Webアクセスは,今の社会にあまりにも自然に溶け込んでいる。このため,本誌の読者のようにネットワークにかかわる技術者も,ついネットワーク技術として認識するのを忘れてしまう。しかも,Webアクセスはとても単純なしくみで成り立っている。

 Internet Explorer(インターネットエクスプローラ)やNetscape(ネットスケープ) Navigator(ナビゲータ)といったWebブラウザがWebサーバーにデータを要求すると,Webサーバーがデータを返信してくる。たったこれだけが基本動作である。1990年に最初のWebブラウザとWebサーバーが誕生して以来,この原理は変わっていない。

説明がつかない不可解な現象

 しかし,Webアクセスのふるまいをもう少し注意深く眺めてみると,これだけでは説明できない現象が数多くあることに気づく(図1[拡大表示])。

 例えば,URL*の最後が「html」になっていなくても,Webページがきちんと表示される点。しくみを知っている人なら,WebサーバーからHTML*データが返されてくることは理解しているかもしれない。しかし,サーバーからもらうデータはHTMLデータだけではなく,画像や音声データのときもある。こうしたデータの種類がどうしてわかるのか。

 また,会員制のWebサイトなどにアクセスしようとしてユーザー名やパスワードを入力するときにも,簡単に説明できない現象がある。ユーザー名とパスワードを入力する画面が,別ウインドウでポップアップしたり,しなかったり…。

 アドレス欄にURLを入力してリターン・キーを押してみると,勝手にURLが変わってしまうこともある。WebブラウザとWebサーバーの間で,Webページ以外の特別なデータをやりとりしているのだろうか。

 このほか,今のオフィスではプロキシ・サーバー*が設置されているケースが多い。WebブラウザとWebサーバーの間にプロキシ・サーバーがあると,Webアクセスのやりとりは大きく変わる。では,どこがどう変わるのか。

今どきのWebアクセスを探る

 こうした謎は,WebブラウザとWebサーバーの単純なやりとりだけでは解けない。今どきのWebアクセスの本当の姿を理解するには,もう一歩深く踏み込まなければならない。

 今回の特集の目標は,こうした今どきのWebアクセスのしくみを解き明かすことだ。

 そのための理論武装として,Webアクセスの基本的なしくみを押さえておきたい。そこで,このあとにはPart1として,Webアクセスの基本を一通り説明することにした。基本はもう大丈夫という人は読み飛ばしてもらってもかまわないが,知識を再確認して整理するのに役立つはずだ。これからWebのしくみを習得しようと考えている読者なら,Part1からじっくりと読み進めていただきたい。

 そして,そのあとに本編とも言えるPart2で,図1に挙げた今どきのWebアクセスのカラクリを徹底的に解剖していこう。

 最後には,Q&Aのコーナーも用意した。Webを普段利用していると,不思議な現象に出合うことが多い。Part3では,そうした素朴な疑問にしくみから迫っていく。