あなたはActive Directoryドメインを管理している。セキュリティ対策の1つとして,ドメイン・コントローラへのローカル・ログオンの記録を残すことになった。この設定を行うためにあなたがすべきことは何か。また,記録を参照するにはどうすればよいか。正しいものを2つ選びなさい。

1:Default Domain Policyで[ログオンイベントの監査]を有効にする。
2:Default Domain Controllers Policyで[ログオンイベントの監査]を有効にする。
3:ローカル・セキュリティ・ポリシーの[ログオンイベントの監査]を有効にする。
4:イベント・ビューアの[アプリケーション]を調べる。
5:イベント・ビューアの[セキュリティ]を調べる。
6:イベント・ビューアの[システム]を調べる。

正しいものを2つ選んでください。
正解:2, 5

 監査を行うにはグループ・ポリシーの設定が必要である。Windows 2000以前は監査を一切行わないのが既定値だった。Windows Server 2003では,いくつかの項目が既定で監査されるが十分ではない。必要に応じて監査設定を追加しよう。ただし,グループ・ポリシーは,複数のレベルで同じ項目を設定できる場合がある。そのときは,ローカル→サイト→ドメイン→上位OU→下位OUの順に優先度が高まるので注意したい(図1[拡大表示])。


図1●グループ・ポリシーの優先順位<
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図2●ドメイン・コントローラに設定された既定のポリシー
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 ファイルなどのオブジェクトを監査する場合は2段階の設定を行う。まず,オブジェクトが配置されたサーバー(例えば,ファイルの監査であれば,そのファイルを保持しているサーバー)のポリシーを設定する。次に,ファイルなどのオブジェクトのセキュリティ設定を変更し,監査の内容を設定する。

 問題はActive Directory関連の監査である。特に[ログオンイベントの監査]と[アカウントログオンの監査]は混乱しやすい。[ログオンイベント]は,ログオンの結果,使用を許可されたコンピュータを意味し,[アカウントログオン]は認証に成功したことを意味すると考えれば分かりやすい。

 ローカル・ログオンを監査するには[ログオンイベントの監査]を,ローカル・ログオン先のコンピュータに対して有効にしよう。

 設問では,ドメイン・コントローラ(DC)へのログオンを監査したいので,[Default Domain Controllers]というOUの既定のポリシーの設定を変更する(図2[拡大表示])。ローカル・セキュリティ・ポリシーやドメイン・レベルの[Default Domain Policy]というポリシーは[Default Domain Controllers]の既定値[監査しない]の設定で上書きされるため,設定してもDCには無効である。

 [アカウントログオンイベントの監査]は認証を行ったコンピュータ(DC)に記録される。つまり,メンバー・サーバーやクライアントPCではなく,必ずDCに記録される仕組みだ。例外は,ローカル・ユーザー・アカウントを使ってログオンした場合である。この場合は,ローカル・ユーザー・アカウント・データベースを保持するコンピュータの監査設定が使われる。

 監査の結果は[イベントビューア]の[セキュリティ]ログで参照する。ログの監査情報を見られるのは既定ではAdministratorsグループのメンバーだけだが,グループ・ポリシーで変更することも可能である。