あなたはある工場のネットワーク管理者である。敷地内のすべてのビルは高速な光ファイバで結ばれているが,ネットワーク・トラフィックにはあまり余裕がない。各ビルは部門ごとにWINSサーバーを持つ。すべてのWINSサーバーを短時間で効果的に複製するには図1[拡大表示]のどの接続が適切か。

1:スター型
2:ツリー型
3:メッシュ型
4:リング型
5:他に最適な方法がある
6:どれでもよい

正解:1

 データ複製の順路を「複製トポロジ」という。複製トポロジとしては次の4種類が一般的である。(1)スター型(ハブ&スポーク型とも呼ぶ),(2)ツリー型,(3)メッシュ型,(4)リング型——である。それぞれ,長所と短所があるので適切に使い分ける必要がある。WINS(Windowsインターネット・ネーム・サービス)の管理ツール自身にこうした複製パスを選択する機能はないので,管理者が手動で複製パスを構成しなければならない。


図1●WINSの4つの複製方式
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 「スター型」は,1台のハブ・サーバーを中心に,放射状に複製ノード(スポーク)を接続した形態である。この方式は,ハブ・サーバー以外の負荷が軽いため,サーバーのコストを最適化できる。

 どのサーバー間でも2ホップ(ネットワークを2回経由する)で接続できるため,比較的高速な複製も可能である。特にハブ・サーバーが業務の中心地にある場合は,1ホップで複製が完了する場合が多くなるだろう。サーバーの台数が増加しても,ネットワークの負荷があまり増加しない利点がある。

 さらに,サーバーを1台追加しても,複製パスの増加は1本だけだ。設問のように,ネットワーク・トラフィックを節約しながら,短時間で複製を実現するのに最適な構成である。ただし,ハブ・サーバーの負荷が増加しがちなので,処理能力に十分な余裕が必要だ。

 「ツリー型」は,階層構造の複製トポロジである。物理ネットワークが階層構造をしている場合に適している。特に,低速なネットワークと高速なネットワークが混在している場合に有利だろう。低速回線経由でいくつもの複製パスを設けるのは効率が悪いためだ。サーバーを追加した場合の複製パスの増加も少ない。

 しかし,複製のためのホップ数が大きくなるため,複製スピードが遅くなる。途中にノード障害があると,下位ノードに複製ができなくなる欠点もある。

 「メッシュ型」の接続は,すべてのサーバーが相互に複製する方式である。最短時間で複製できるが,ネットワークとノードに与える負荷は高い。また,サーバーを1台追加した場合,追加複製パスは既存の全サーバーの台数分だけ必要になる。設問のようにネットワーク・トラフィックが多い環境には適さない。複製速度を最優先したい場合にのみ有効だ。

 「リング型」の接続は,文字通りサーバーをリング状に接続する複製トポロジである。ネットワークに与える負荷が軽く,双方向の複製を構成すれば障害にも強い。また,サーバーを追加しても複製パスの増加は少ない。ただし,リングが大きくなると複製に時間がかかる。