図 すべての通信サービスをIPで統合するNGN
図 すべての通信サービスをIPで統合するNGN
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 NGN(next generation network)とは,通信事業者が提供するすべての通信サービスの基盤となるネットワークとして検討が進められている次世代IPネットワークである。

 現在の通信事業者のネットワークでは,インターネット・サービス用のIPネットワークと電話サービス用の電話網がまったく別に構築されている。それが最近,KDDIやNTTなどの通信事業者は,電話サービスをIPで実現し,IPネットワークに統合する方針を打ち出してきた。電話だけに留まらず,テレビ放送もIPネットワークで統一的に提供する動きも進んでいる。これは国内だけではなく,国際的な潮流となっている。こうした通信サービスをすべて取り込んで,提供するための次世代のIPネットワークがNGNである(図)。

 現在,電気通信の国際標準を決めるITU-T(国際電気通信連合 電気通信標準化部門)などを中心に,NGNの標準化が進められている。ITU-Tは,NGNの標準化を今会期(2005~2008年)の最重要課題と位置付け,「IPパケットを転送するための機能」(トランスポート・ストレイタム)と「電話やストリーミングなどのアプリケーションを実現する機能」(サービス・ストレイタム)に分けて,それぞれ仕様を検討している。

 こうした動きに応じて,日本国内でも活動が始まっている。2005年8月,総務省の「次世代IPインフラ研究会」は,(1)電話に必要な品質や機能の確保,(2)相互接続性や運用性の確保,(3)安全性や信頼性の確保,(4)その他——と4項目の課題を挙げ,検討が必要だと報告書で述べた。これを受けて,総務省の情報通信審議会では,通信事業者などが具体的な技術課題を検討する「IPネットワーク設備委員会」を2005年11月に立ち上げた。また,産官学が連携して課題に当たるための「次世代IPネットワーク推進フォーラム」も2005年12月に設立されている。