Jakarta Tomcat
エキスパートガイド

Amit Bakoreほか 著
中川 和夫 訳
Ja-Jakartaプロジェクト 監訳
ソフトバンク パブリッシング 発行
2003年9月
667ページ
4410円(税込)
JBoss入門
オープンソース

Java・EJB
皆本 房幸 著
技術評論社 発行
2003年7月
449ページ+CD-ROM
4074円(税込)
オープンソース徹底活用
Eclipseによる
Javaアプリケーション開発

水島 和憲 著
秀和システム 発行
2003年10月
267ページ+CD-ROM
2310円(税込)
現場で使えるSQL
ランス 小野 哲,藤本 亮 著
翔泳社 発行
2001年10月
291ページ
2310円(税込)
Oracle+Java
アプリケーション開発

福田 武志,虻川 利行 著
ソフトバンク パブリッシング 発行
2004年1月
316ページ+CD-ROM
2730円(税込)
実践JDBC
Javaデータベース
プログラミング術

菊田 英明 著
オーム社 発行
1998年5月
309ページ
3045円(税込)

開発/実行環境についての
知識も身に付けておこう

 Webアプリケーションの開発や運用には,実行環境となるアプリケーション・サーバーが必要です。開発にフリーのアプリケーション・サーバーを使うなら,最初に候補に上がるのがTomcatです。商用サイトで多くの利用実績があるので,J2EEを学ぶ入り口としては最適なプラットフォームです。

 そんなTomcatについてじっくり学びたいという人には「Jakarta Tomcatエキスパートガイド」をお薦めします。本書は,Tomcatの主要機能や設定を解説するにとどまらず,Tomcat本体のアーキテクチャにまできちんと言及している点で類書とは一線を画していると言えるでしょう。実運用では必須とも言えるWebサーバー(Apache,IIS)との接続についても当然取り上げています。

 発行時期の関係から,本書が前提とするTomcatのバージョンは3.xと4.xで,5.xについては触れていません。4.xではServlet APIのバージョンが2.4,JSP APIのバージョンが1.2であるのに対し,5.xではそれぞれ2.4,2.0に上がっています。ただし,Tomcat 5.x系はまだ実績が少ないことに加え,現時点では商用アプリケーション・サーバーもServlet 2.4やJSP 2.0には未対応です。眼前の案件への適用やサーブレット/JSPの学習が目的なら,4.x系を利用するのが順当と言えると思います。

 Tomcatはサーブレット・コンテナなので,EJBを利用する場合はほかのアプリケーション・サーバーを使わなくてはなりません。以前はEJBを実行できるアプリケーション・サーバーと言えば商用のものが主流でしたが,現在ではオープンソースのJBossも大きな選択肢の一つです。

 JBossについての知識を身に付けたい人,特にJBossを使ってEJBを勉強したい人にお薦めなのが「JBoss入門 オープンソース Java・EJB」です。この本は,JBossのインストール/設定方法やアーキテクチャ,システム管理などについて解説しているほか,JBoss上でEJBを開発する際の手順についても説明しています。本書を読めば,エンティティBean,セッションBean,メッセージ駆動Beanなどをどのように開発するかといったEJB開発の手法を基礎から習得できるでしょう。EJBパターンやEJBにおけるトランザクション制御やパフォーマンスといった,EJBを適用する場合の設計手法についても触れており,1冊でJBossとEJBの両方の知識を得ることができます。

 TomcatやJBossが実行環境のプラットフォームであるのに対し,開発環境のプラットフォームとも呼べるのがEclipseです。Eclipseの使い方を手を動かしながら学びたければ「EclipseによるJavaアプリケーション開発」がよいでしょう。本書は,基本パッケージであるEclipseとJDTの基本操作から,プラグインによるJ2EE開発,UMLモデリングのプログラミングへの活用,XP(エクストリーム・プログラミング)の基礎技術であるリファクタリングのサポート,CVSを利用した構成管理に基づくチーム開発まで,実践的なテクニックを幅広くまとめています。これらのテクニックを身に付けながらEclipseをマスターしていけば,開発者としても初級者から中級者へとステップアップできるでしょう。数あるEclipseの参考書の中でも特にお薦めできる良書です。

データベースを扱うにはSQLとJDBCの使い方を覚える

 ビジネス・アプリケーションには,リレーショナル・データベース(RDB)がつきものです。RDBの操作にはSQLを用いるので,Javaに通じているだけでは,データベース・アプリケーションを作ることはできません。

 SQLをきちんと使いこなせるようになりたければ,「現場で使えるSQL」を読んでみてください。本書は,「商品マスタを卸単価で降順ソートし,6行目から8行目を取得せよ」といった100個の「例題」と,それに対する「正解」「解説」で構成されています。例題の多くが実践的な内容のため,SQLについての知識と現場で役立つテクニックの両方を身に付けることができます。

 まったくのデータベース初心者なら,まず付録を読んで環境構築を行い,第1章と第5章で参照と更新の基本を学ぶとよいでしょう。

 目次には例題の内容がそのまま書かれているので,SQLに困ったときの逆引きリファレンスとしても活用できます。OracleとSQL Serverの方言について触れている点も,開発者にとってありがたいところです。初心者から中級者まで役立つ,まさにタイトル通りの本と言えます。

 一方,データベースについては何一つ知らないけど,とにかく手っ取り早く知識を得たいという人は,「Oracle+Javaアプリケーション開発」を手にとってみてください。本書は,テーブル,ビュー,インデックス,ストアドプロシジャ/ファンクション,トリガーといったデータベースの基本的な概念/機能,Oracleのインストール/設定法,簡単なSQLの記述法などを非常に駆け足ながらも一通り解説しています。これ一冊ですべてについて十分な知識を身に付けることは難しいですが,少なくとも「次に何を学ばなくてはならないか」は,わかるようになるはずです。

 データベースを扱うには,Javaからデータベースを操作するためのAPIであるJDBCの知識も必要です。残念ながらJDBCのAPIをきちんと解説している本は多くありません。しかしJDBCそのものはそれほど変化していないので,多少発行時期は古いですが,ここでは「実践JDBC」を挙げておきます。

 本書は,初級者に向けてJDBCを基本からとても丁寧に説明しています。最初にJDBCの役割や構成,各種ドライバなどについて解説し,基本的な検索/更新処理の記述方法やサンプルの作成に進みます。最後の章では,コンパイル済みのSQL文を使うことで高速化を図るPreparedSQLなど,多少高度な話題にも触れています。初級者は,まずこの本で基本を習得して,それから最新のAPIのリファレンスを確認するとよいでしょう。