萩本 和男 NTT未来ねっと研究所 所長
山内 修 NTTアクセスサービスシステム研究所 第二推進プロジェクト プロジェクトマネージャー
鎌 光男 NTTアクセスサービスシステム研究所 第二推進プロジェクト ディレクター
FTTH(fiber to the home)サービスの開通には,ユーザー宅内の光配線工事が必要です。これまでの開通作業では,光ファイバの取り扱いに慎重な作業が求められました。しかし光ファイバの接続をコネクタ化することにより,作業の簡易化が進みつつあります。
FTTHの早期展開が事業者にとって急務となっています。そのために重要になるのが光配線技術です。簡単で扱いやすい光配線技術が求められています。
FTTHサービスを開通させるためには,ユーザー宅内への光配線工事が必要です。ただし現行の光配線は作業に熟練を要します。ドロップ光ファイバをユーザー宅内へ引き込む屋外光キャビネットの中では,光ファイバ接続後の余った光ファイバ心線を収納するため,曲げやねじれなどに注意して作業する必要があるからです。ファイバに曲げやねじれが生じると,伝送損失につながります。
また故障時の調査でも,測定器類とつなぐためには,接続部をいったん切断して測定用コード類と再接続することが必要です。ユーザー宅内でドロップ光ファイバおよびインドア光ファイバを接続する,光ローゼットについても同様の作業が発生します。
このような課題を解消するために,最近になって新しい光配線技術の導入が進んでいます。
光ファイバの接続をコネクタ化
まずは,光ファイバ心線状態での収納を避けるために開発された「ケーブル外被把持型コネクタ」を紹介します。「FAコネクタ(field assembly connector)」とも呼びます。
FAコネクタは,外被把持部材を取り付けることで,光ファイバ心線を露出せずに接続,取り外しができる構造を採用。また,専用の工具を使用することなく,現地で簡単かつ確実に組立てることが可能です(図1[拡大表示])。
FAコネクタ・プラグをソケットに差し込むことで,簡単にコネクタの接続,切り離しができます。もちろん故障の調査時に,接続部を切断する必要もありません。
FAコネクタ対応ユニットも新導入
FAコネクタの収納を可能にした「光コネクタ・キャビネット」,「光コネクタ・ローゼット」も新たに導入された技術です(図2[拡大表示])。これらのユニットの内部では,光ファイバが取り扱いやすくなったため,開通作業の効率化につながります。また,FAコネクタを採用したことで,キャビネット類の小型化も実現しました。
なお,最も一般的に使用されている「アウトレットボックス(JIS C 8435に準拠したスイッチボックス浅型SM36)」でも,FAコネクタは利用可能になっています(図2右下)。
今後の宅内光配線は,このようにFAコネクタをベースにして,より扱いやすい形へと進化していくでしょう。それに伴って,開通作業がますますスピードアップすると考えられます。