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ワンセグを読み解く基礎知識

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第1回 携帯端末向け地上デジタルテレビ放送「ワンセグ」のしくみと特徴

2006/03/01
隅倉 正隆=IT・放送技術ジャーナリスト
図1 地上デジタル放送のしくみ
図1 地上デジタル放送のしくみ
[画像のクリックで拡大表示]
表1 「ワンセグ」放送サービス仕様
表1 「ワンセグ」放送サービス仕様
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 第1回は,携帯端末向け地上デジタルテレビ放送「ワンセグ」のしくみと特徴を解説しよう。

ゴーストやノイズに強い

 「ワンセグ」とは,日本国内の地上デジタルテレビジョン放送規格であるISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial,日経エレクトロニクスの用語解説)を利用した携帯端末向け地上デジタルテレビジョン放送サービスの名称である。ISDB-Tは,家庭に置かれているテレビ(固定受信機)以外に,カーナビなどの移動体端末や携帯電話やPDAなどの携帯端末も受信対象として考慮された技術規格である。

 現在のアナログ放送では,ビルによって電波が反射されたりしてゴーストやノイズが発生し,車で移動中にテレビを見ようとすると,良好に受信しているかと思うとゴーストだらけになったり,受信不能になったりを繰り返す。これに対して地上デジタル放送では,OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交波周波数分割多重)というデジタル変調方式を採用することで,移動時においても安定してテレビ放送を楽しむことができる。

 さらに,放送特有の同報性を生かした災害情報提供サービスにも有効なため,今以上にサービス・エリアの拡大が必要になる。そこで,地下道や地下鉄が多く,高層ビル群が建ち並ぶ都市部など,電波が届かない場所にギャップ・フィラーと呼ばれる再送信装置を設置することや,都内では約600m級のタワーを建設することなどが検討されている。

「ワンセグ」放送のしくみ

 ISDB-Tでは,帯域幅約429kHzを1単位とし,それを「セグメント」と呼ぶ。そして13個のセグメントを組み合わせた帯域幅(約5.75MHz)を一つのチャンネルに割り当てている。現在,すでに一部地域でサービスが始まっている,家庭用のデジタルテレビで受信できる地上デジタルテレビジョン放送は,この13セグメント中の12セグメントを使って番組を配信している。

 ワンセグ放送サービスは,この1チャンネル約6MHzの帯域幅の13セグメントの内,1セグメントを利用する。テレビ用チャンネル(13セグメント中12セグメント)の一部の電波,つまり1セグメントを使って“映像・音声・データを放送するので,「ワンセグ」と呼ばれるわけだ。

 ワンセグ放送は,固定受信機向けデジタル放送と異なるチャンネルが割り当てられると思われがちだが,実は地上デジタルテレビジョン放送の一部の放送サービスである。つまり,放送チャンネルは,固定受信機向け地上デジタル放送と同じチャンネルなのである(図1)。

 ワンセグ放送受信端末は, テレビ用チャンネル(つまり,1チャンネルの13セグメント)を全部受信するのではなく,一部だけを取り出して受信できる(部分受信)。この仕様は,日本独自の地上デジタル放送仕様である。

MPEG-2よりも高効率な圧縮方式を使って映像を符号化

 固定受信端末向け地上デジタルテレビジョン放送は,12セグメントを利用し,映像圧縮技術であるMPEG-2方式にて1080I,30フレーム/秒のHDTV放送を行っている。携帯端末向けワンセグ放送は,1セグメントを利用し,動画データの圧縮率がMPEG-2の2倍以上あるH.264/MPEG-4 AVC方式を使って,QVGA(解像度320×240ドット:4対3,320×180ドット:16対9),15フレーム/秒の放送を行う。

 伝送速度は,使用する変調方式や誤り訂正方式などの伝送パラメータによって異なる。変調方式に関して,QPSK(Quadrature Phase Shift Keying,4位相偏移変調)方式が採用される。これにより,受信をより良くすることができるが,伝送速度は遅くなる。しかし,サービス・エリアを広くし,移動体でも強い受信環境を提供する必要があるため,この変調方式が選ばれそうだ。

 この方式を用いた場合(誤り訂正信号を付加した後の伝送速度比(符号化率)を1/2とした場合),伝送速度は312kビット/秒になる。ただし,この312kビット/秒を映像,音声,データ,制御情報のすべてに割り当てるため,各々の伝送速度は小さくなる。

音声は5.1チャネルではなく,ステレオまで

 ワンセグ放送の音声符号化方式は,HDTV放送と同様のMPEG-2 AAC方式を採用する。ステレオで2カ国語音声が実現できる。ただし,固定受信端末向け地上デジタル放送では,5.1チャンネル・サラウンド・サービスを実施しているが,ワンセグでは帯域の制限があるため規格化されていない。

 サンプリング・レートは48kHzと24kHzがあり,48kHzでの符号化レートは,モノラルで24k〜256kビット/秒,ステレオで32k〜256kビット/秒,24kHzの場合は最大96kビット/秒である(表1)。

 第1回はこれでおしまいである。ワンセグ放送の概要がイメージできただろう。次回は,「ワンセグ放送のサービスイメージ」を解説する予定だ。

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