pingだけでいろんなことがわかる
最後にpingコマンドの簡単な応用例を紹介しておこう。自分のコンピュータのIP設定を確認する方法だ。コンピュータを新しくセットアップしたり,ネット設定を変更したときには,図6[拡大表示]のような手順でTCP/IPソフトが正しく動作しているか調査してみよう。
設定確認の第1ステップは,コンピュータにTCP/IPソフトが正しくインストールされていて,動作しているかを確認する。これには,自分自身を表すIPアドレス(127.0.0.1)に対してpingコマンドでパケットを送ってみる。
ping 127.0.0.1
以上のようにコマンドを実行すると,pingコマンドは自分自身のTCP/IPソフトに対してエコー要求パケットを送出する。これが動かなければ,TCP/IPソフトが正しくインストールされていない。このコマンド処理では,自分自身にパケットを送出し,ネットワークへはパケットが出ていかない。
極論するとLANボードやLANケーブルがなくても,TCP/IPソフトさえ動作していればよい。IPアドレスなどが正しく設定されていなくてもかまわない。したがって,ここでうまく動かないことがあれば,IP設定以前の障害ということになる。
これが正常に動作したら,次はルーターの手前にいて確実に動いていることがわかっている機器に対してpingを実行する。これで自分のIPアドレスが正しいことが確認できる。
次はルーターの向こう側にあるコンピュータを相手にpingを実行する。これも正常に動作すれば,デフォルト・ゲートウエイ*の設定も正しいと判断できる。ルーターの手前は正常なのに,ルーターの向こう側が正しく動かない場合は,デフォルト・ゲートウエイであるルーターに対してpingコマンドを送出してみよう。これがうまく動作した場合は,サブネット・マスクの設定などに誤りがあることが多い。
そして最後にIPアドレスではなく,相手のドメイン名を指定してpingを実行してみる。これが正常に動作すれば,DNS*サーバーの設定も正しい。
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pingコマンドの応用範囲は広い。トラブルなどがあったとき,とりあえずpingを打ってみるのは常套(じょうとう)手段。使い方と結果の意味を押さえてしまえば,あとは工夫次第だ。いろいろと試して自分のものにしよう。