道路がまっすぐの筑波研究学園都市。有事の際は、戦闘機が発進できるとの噂も!
道路がまっすぐの筑波研究学園都市。有事の際は、戦闘機が発進できるとの噂も!
[画像のクリックで拡大表示]

この連載のほかの回を読む

 前回は、私のサイト「Skypeやろうぜ」がSkype社の人の目にとまり、CEOに会えたという驚きの経験をお話ししました。今回は、その「Skypeやろうぜ」がうまくいった理由の一つである「Wiki」についてです。

 「Skypeやろうぜ」は、私のサイト「IKeJIWiki」の中の1ページで、Wikiという仕組みで作ってあります。Wikiってご存知ですか。簡単に紹介しておきましょう。

 普通のWebサイトは、HTMLという言語で書かれています。HTMLはタグと呼ぶ機能を使ってテキストを整形し、ブラウザで読みやすくしてあります。タグの書き方を工夫するのは楽しいものですが、書くのに時間がかかるのでやっぱり面倒です。

 ここで便利なのがWiki。Wiki記法はHTMLタグを書かずに、プレーンなテキストに近いものをきれいに整形して、Webブラウザに表示することができます。思ったことをすぐにWebページに反映させられるのが特徴で、この手軽さのおかげで私はWebサイトの管理を続けられました。

 もう一つのWikiの重要な特徴は、だれでもWebページを編集できること。普通のWebサイトは、限られた人しか更新できないようにします。だれでも編集できるようにすると、ウイルスに感染させられたり、クロスサイト・スクリプティングなど脆弱性の原因になるからです。

 ところが、これでは「Skypeやろうぜ」の多くの人に情報を追加してもらえません。そもそも私が「Skypeやろうぜ」を始めたのは、不足していたSkypeの情報を集めたかったから。自分一人で情報を掲載していたのでは、まったく意味がありません。

 こんなときに役に立つのがWikiなのです。Wiki記法で書かれているのは、ただのテキスト。テキストにはウイルスなどが入り込む隙がありません。安全性は保ったままで、多くの人にサイトを編集してもらうことができるのです。読者のみなさんも、「Skypeやろうぜ」にアクセスして、右側の「編集」メニューを使えばサイトを編集できます。

 おかげで「Skypeやろうぜ」には、さまざまな人の情報が載るようになりました。その例をいくつか挙げてみましょう。初期のころから情報が集まっているのが、Skypeの動作報告です。当初のSkypeは不安定で、サウンド・カードの種類によっては正常に動作しないことがありました。また、Skypeはどの程度の回線速度なら動作するのかが気になっていました。こうした情報が、どんどん集まってきたのです(参照ページへ)。

 このほか、Skypeの通話相手を探せるように、ID交換ページを作りました。IDを交換できる場がほしいという意見を頂いて、私がWikiで数分で作ったページです。小回りがきくWikiだからこそ、こんなことができたのです。ID交換ページは大人気となり、今では1300人以上の人がSkypeのIDを登録しています。今では登録数が増えてWikiでは見にくくなるため,別のシステムを利用していますが,これほど人気が出たのはWikiで早い時期に立ち上げたからだと思います。

 最近では、こんなことも起こりました。今年初めに私は、「mood_sru」(ムードスル)というSkype用のアプリケーション・ソフトを作って公開しました。Skypeでは「退席中」「取込中」など、自分の状況を相手に伝える「ムードテキスト」という機能があります。私が作ったmood_sruは、このムードテキストをカスタマイズして、自分が好きな言葉を表示させることができるソフトなのです。例えば、「授業中」のように表示もできます。

 自分では便利なソフトだと思って作ったものの、使いこなすのが難しいと思う人が多いのではないかと心配していました。ところが配布を始めたところ、使いこなした人たちがどんどんカスタマイズの例をサンプル・コードとして私のページにWikiで書き込んでくれたのです。サンプル・コードがあるので、誰でも戸惑ずにソフトを使えているようなのです。本当に、WikiはSkypeやろうぜの強い味方です(参照ページへ)。

 次回は、mood_sruなど私のサイトで公開しているソフトを含めたSkype関連ツールについて紹介します。


著者紹介
 著者の池嶋 俊氏はSkypeまとめサイト「Skypeやろうぜ」の管理人。プログラマの観点からSkypeを解説し、新しい使い方を提案する。Skypeの技術を解説した『入門 Skypeの仕組み』(日経BP社刊)の著者。また、筑波大学に通う大学生。サークル活動をしたり、学生ベンチャーをしたりドタバタな大学生活を楽しむ。この記事へのコメントはSkypeやろうぜ内のページでも受けつけている。