授業のお昼休みの風景。Windowsサーバーを使った授業です。授業に備えて設定をいろいろイジるのですが,あんまりイジると授業で使えなくなるので,いつもほどほどにしています。(写真:エイジ)
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僕が専門学校で教えている学生が,就職試験の面談のとき,「今までプログラミングして感動したこと」を聞かれたそうな。その話を聞いて考えてしまいました。自分が同じ事を聞かれたらなんと答えるか。 「ネットワークを学んで一番感動したことはなんですか?」。皆さんは,なんて答えますか?う~ん,僕ならば・・・ 「Windowsドメインのサーバー群のIPアドレスを変更したときのことです。変更したら同期はとれないわ,DHCPサーバーは動かなくなるわ,DNSの名前解決も駄目だわで,結局3時間ほど,あーでもないこーでもないといじくり倒したあげく,DNSのレコードを書き直していなかったことに気づいて,それを直したら何事もなかったかのように動き出しました。ホッとしました」。 あれ?これは「感動した話」ではなくて「ホッとした話」ですね。こうしたことが真っ先に思い浮かんでしまうのは,ネットワーク管理者の宿命ですね・・・*1。 話を元に戻します。ネットワークで感動したこと。これは多くの人が同意してくれると思うのですが,ネットワークを学んでいくにあたって一番感動するのは,「パケット・キャプチャ」だと思うんですよ*2。いや,マジで感動します。パケット・キャプチャ。オススメです*3。 もう,ARPのあて先MACアドレスがブロードキャスト・アドレスになっているのを見て感動。「ホントにブロードキャストで出てるんだ。すげー」。 そしてIPヘッダーを見て感動。「バージョンは確かに4って書いてあるぞ。ヘッダー長は本当に20バイトだ。全部本に書いてあるとおりだ。すげー」。 さらにTCPのスリーウエイ・ハンドシェイクを見て感動。「最初のフラグがSYNで,応答のフラグがSYNとACK。そして最後にACK。本当に3回やりとりしてるよ。すげー」。 なんかこう書くとバカみたいですが,キャプチャしたパケットを初めて見たときは感動ですよ。本に書かれてあったことが,本当にその通り動いているんですから。特にネットワークでは,やりとりされるデータは目に見えません。それだけに,パケットが“見えた”ときの感動はひとしおです。
感動した人はネットワークに向いている僕がこんななので,学生の目の前でパケットをキャプチャして見せて,「ふ~ん・・・」なんて冷たい反応が返ってきたりすると,つい思ってしまいます。「ちょっと待ってくれ。それだけなの? これ面白くない? すげーでしょ? 僕が教えた通りに動いてるんだよ? ねぇねぇ」。首根っこ捕まえてガクガクしたい気持ちでいっぱいになったり・・・。こういう人は,パケットがどう流れているか興味ないってことなのかなぁ。それじゃネットワークを勉強しても楽しくない。 もし,ネットワークに向いているとか向いてないってのがあるとするなら,このパケット・キャプチャをしてみて面白いと思えるかどうかだと思ったりもします。自分で学んだ通りにパケットが流れていたときの「すげー,ホントにこうなんだ」とか,予想していたのと違うパケットが流れていたときの「あれ? なんでこうなるの?」という思いが,ネットワークに興味を抱くきっかけになると思うんですよ。 ネットワークやプログラミングに限ったことではないのだろうけど,自分が勉強した通り,あるいは思った通りに物事が動いているのを自分の目で確認できたら感動すると思います。 ん? ってことは,待てよ。パケット・キャプチャで感動できない人は,感動するだけの知識がまだ身に付いていないってことなのかもしれない。頑張って教えてるんだけどなぁ。 |
筆者紹介
ネットワークの勉強サイトRoads to Nodeの管理人。Flashで作った動画の技術解説が好評。本職は,技術系専門学校の講師。IT Proでは「シスコ資格:CCNAへの道」と題したCCNA試験対策の記事を連載中(毎週火曜日更新)。網野衛二というペンネームで執筆活動も始めている。