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22人の編集長が展望する2006年

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2006年のIT商談のキーワードは何か?

2006/01/17
日経ソリューションビジネス編集長 桔梗原 富夫

 2006年は、IT業界とりわけITサービス業界にとって久々に明るい年になるはずだ。景気回復を受け、ユーザー企業が設備投資を増加させており、IT投資も増加傾向にある。実際、日経ソリューションビジネスが四半期ごとに、ソリューションプロバイダ(システムインテグレータやシステム販社など)を対象に調査している「ITサービス業況調査」でもその傾向がはっきりと見て取れる。昨年12月の調査では、「ユーザー企業のIT投資意欲は高まっている」という回答が54%に達した。この数字は実に2000年以来の高水準である。

 ただし、「あそこがあんなシステムを入れたからウチも入れよう」といった横並びのIT投資はもはや期待できない。ITの投資対効果を厳しく見るようになり、ソリューションプロバイダを選別する目も厳しくなっている。ユーザー企業の個別の課題解決、さらには競争力強化に結びつくような“ソリューション”を提案できない会社はもはや生き残れない。ニーズが細分化するなかで、共通のキーワードを探すのは難しいのだが、日経ソリューションビジネスでは10個のキーワードを挙げたい。

 「内部統制」「プチSOA」「課題先進国」「プレ2007年問題」「新興中小企業」「脱ライセンスビジネス」「お客様マネジメント」「マルチナショナル」「マネジメントコックピット」「情報システム部門再生」である。これらは小誌1月15日号特集「商談を獲得する2006年のキーワード10」でまとめたものだ。小誌はソリューション提供側のための雑誌なので、売る視点から斬っている。詳細は特集記事からの抜粋を読んでいただくとして、特に動きがありそうな、内部統制、プチSOA(サービス指向アーキテクチャ)、課題先進国、プレ2007年問題について述べたい。

 内部統制とSOAについては、日経コンピュータの田口潤編集長も今年のキーワードに挙げていた。ソリューションプロバイダにとって、日本版SOX法の商談規模は2000年問題を超える可能性がある。早ければ2008年3月期決算から対応を余儀なくされるため、今年最大の商談テーマになりそうだ。コンサルティングをはじめ、文書管理やワークフローなどがまずは有望だろう。その際、単に「規制に対応しましょう」という守りの提案ではなく、業務プロセスの可視化や改善まで踏み込めれば、よりチャンスは広がる。

 システム運用の分野では昨年、ITIL(ITインフラストラクチャ・ライブラリ)がキーワードだった。ITILを使った運用サービスを日本版SOX法対応の視点で見直し、ユーザー企業に提供するのも今年は有効だろう。一方で上場しているソリューションプロバイダにとっては、内部統制は自身の問題でもある。自らがいち早く実践し、経験やノウハウを蓄積し、顧客への提案に生かせば説得力が増すはずだ。

 SOAにプチをつけたのは、SOAと大上段に振りかぶるのではなく、身近なところから手掛けてみてはどうかという気持ちからだ。現時点では、「当社のミドルウエアを使えば、サービスの再利用を実現できます」といったソフトベンダーによる囲い込みが先行している。ソリューションプロバイダとして今年取り組むべきは、レガシーシステムのデータをオープンシステムで参照・活用するインタフェースのSOA化ではないだろうか。こうして橋頭堡を築いておけば、基幹業務システムにSOAを適用する際にも、ユーザーと一歩進んだ商談ができる。

 課題先進国というのは日本の現状を指す。あまり名誉ではないが、最近時々耳にするようになった。それがなぜIT商談のキーワードになるのかは説明が必要だろう。日本は少子高齢化など、国の成熟化に伴って生じる様々な社会問題に直面している。政府のe-Japan戦略は、ブロードバンドの普及という効果は上げたものの、「ITの利活用で先進国になる」という目標については実感を伴わないまま昨年末で終了した。政府のIT戦略本部が今年から始める「IT新改革戦略」では、医療改革、環境対策、交通安全社会など7つの分野について、ITの適用を推進する。すなわち課題先進国の課題をITで解決しようというわけだ。

 例えば医療改革では、2010年までにレセプト(診療報酬明細書)を完全オンライン化し、電子カルテの早期普及を図るという目標が決まっている。環境分野では、産業廃棄物のトレーサビリティ導入などが挙がる。こうしたITソリューションを開発し、実績を積めば、海外展開のチャンスが生まれる。なぜならば、課題先進国の課題は、アジア諸国でも経済発展が進めば必ず持ち上がるからだ。

 2007年問題という言葉はもはやIT業界だけでなく、あらゆる業界で使われるようになった。逆に、言葉の発信地であるIT業界を取材していると、早くから問題視していたこともあってか、最近は不安が薄らいでいるように感じる。技術者を再雇用したり、定年を引き上げたりといった対策を打ち始めているのだ。むしろ深刻なのは、熟練技術者の大量退職よりも、基幹システムを担う若手が不足し始める問題だろう。これはすでに始まっており、それをプレ2007年問題と表現した。ソリューションプロバイダは、若い人に魅力を失った基幹システムの運営を、長期の視点からどうすべきかを提案するチャンスである。ユーザーによっては、「社員は要件定義さえできればよい」と、アウトソーシングするケースも増えるだろう。

 内部統制を除くと、すぐに商談に結びつくような強力なキーワードではないかもれしれないが、知恵しだいで提案のヒントはたくさんある。日経ソリューションビジネスは、今年もソリューション提案のための情報にこだわって提供していきたいと思いますので、よろしくお願いします。

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