私の通う研究室がある"総合研究棟B棟"。地下1階地上12階の大学でも最大級の建物です。
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 みなさん、こんにちは。筑波大学の大学生、池嶋俊です。私は大のSkypeファン。ほぼ毎日Skypeを使っているだけでなく、Skype好きが高じて、「Skypeやろうぜ」というWebサイトを運営したり、10月に発行した『入門 Skypeの仕組み』という本を書いたりしています。

 今回、『入門 Skypeの仕組み』でお世話になった編集者の方から、Blogを書かないかというお話を頂きました。Blogは最近、本当に流行っているなあと感じています。10月に公開された総務省の調査によると、日本のBlog人口は473万人もいるらしい。私が大学で受講している体育の授業では、先生のBlogにコメントを書く作業で出欠を取っていたりもしています。

 私は、Blogには2つの側面があると思っています。一つはコンテンツとしてのBlogで、もう一つはコミュニケーションとしてのBlog。実際にどちらの側面で作られているBlogが多いかを考えてみると興味深い。

 たぶんこのBlogは、コンテンツの方に入るのでしょう。なので、私は友達への私信などは書かないようにしないといけないと思う。いきなり話が脱線しましたが、このBlogでは日本のBlog人口に匹敵する数のユーザーが常に使用しているSkypeについて、書いていきたいと考えています。

 私がSkypeを初めて知ったのはSlashdot.jpというニュースサイトです。最初の出会いでは、不覚にも私はSkypeのよさに気づきませんでした。Skypeをただのテキストチャットで、通話はオマケだと思っていたからです。Skypeのよさは何と言っても通話機能のよさで、テキストチャット機能だけで比べたら、他のソフトと大差ない。今思えば、何て大きなミスをしていたんでしょう。このため、Skypeは私のPCの奥にしまったままになっていました。

 Skypeが必要になったのは、2004年になってから。きっかけは、彼女が東京に進学して電話代がかさんだことです。私はつくばで彼女は東京。遠距離恋愛でかかる電話代に悩まされた私は、PCの奥で眠っていたSkypeをひっぱりだしてきた。音声チャットソフトの中からSkypeを選んだ決め手は、SkypeのP2P技術にありました。例えば、MSN Messengerに付属している音声チャット機能は、ネットワークによっては使えないことが多いのです。私の彼女が使用しているネットワークでも使えませんでいた。ところがSkypeなら、インストールするだけで、何も設定しなくても通話できたのです!。パソコンに詳しくない彼女でも、Skypeならすぐに使えるようになったのでした。

 ただ、この頃のSkypeは今ほど完全ではなく、マイクの設定などにコツが必要でした。設定情報を調べようと思っても、当時はSkypeについての日本語の情報がほとんどありません。先のSlashdot.jpに掲載されている記事ぐらいしかない。「ないなら作ってしまえ!」とばかりに、私はSkypeについての情報を自分のサイトに載せて、まとめることにしました。こうして、「Skypeやろうぜ」というサイトが誕生したのです。

 サイトを作った目的の一つは、Skypeに関する情報を集めること。それなのに、なかなか書き込みが増えません。書き込みが少ないのは、「全体のアクセス数が少ないからじゃないのかな」と思った私は、検索エンジンに詳しい大学の友人にページのSEOを頼んでみました。SEOというのは、サーチエンジン最適化という手法で、これを行うと検索エンジンで検索した時に、私のページが上の方にヒットするようになります。こうすれば、検索エンジンでSkype情報を探している人は、きっとSkypeやろうぜにアクセスしてくれるはずです。友人は検索エンジンの専門家なので、SEOのやり方を私にアドバイスしてくれました。

 彼のアドバイスに従ってHTMLのタグを変えたりしたところ、「Skypeやろうぜ」は検索結果の上位に登場するようになったのです。Googleなどで検索すると、Skype社の次に表示されるほどになりました。これが私とSkypeをつなぐ思いがけない出来事に結びつくことになります。何が起こったかは、次回をお楽しみに。


著者紹介
 著者の池嶋 俊氏はSkypeまとめサイト「Skypeやろうぜ」の管理人。プログラマの観点からSkypeを解説し、新しい使い方を提案する。Skypeの技術を解説した『入門 Skypeの仕組み』(日経BP社刊)の著者。また、筑波大学に通う大学生。サークル活動をしたり、学生ベンチャーをしたりドタバタな大学生活を楽しむ。この記事へのコメントはSkypeやろうぜ内のページでも受けつけている。