JavaOne Tokyo 2005では「Hands on Lab」というプログラミング講座も開催されました。

講師はサン・マイクロシステムズの藤槻泰宏氏でした。藤槻氏は以前より川原氏と昵懇の仲だったそうで,サンの社内でも数少ないProof of Conceptバージョンのソースコードを持っている方です。

Cosmo Scheduler Dを作成した九州工業大学の薬師寺氏,前田氏,南迫氏,そして筆者もサポータとしてお手伝いさせていただきました。

Hands on Labで用意されたパソコンは50台あったのですが,半分の25台はパフォーマンスが十分でないため,25人の募集枠ということにさせていただきました。その代わり,11月8日と9日の2日間開催ということになったのです。

ところが,ふたを開けたら,Hands on Labの中ではダントツの人気で,あっという間に枠が埋まってしまったのです。そして,当日はキャンセル待ちで並ぶ人が。そこで,パフォーマンスに問題があることを承知していただき,残りの25台も使用することになりました。

資料やサンプルは,藤槻氏も執筆されたSoftware Design2005年10月号のLG3Dプログラミング解説をベースに,新たに作成したものです。

内容はサイコロ型のイメージ・ビューアを作成するというものです。サイコロ型のビューアをクリックすると,サイコロが回転して次のイメージを表示します。

予定では2時間でちょうど最後まで作成できるように考えていたのですが,実際には早く終わってしまう人が続出。早く終わった人のために応用問題を用意していたのですが,結局ほとんどの方が応用問題まで取り組んでおられました。

受講者の方はほとんどが3DのCGやアプリケーションは初めてという方です。それが,みな口々に思ったより簡単にできたと言われます。

繰りかえしになりますが,LG3DのAPIはアプリケーションを容易に作成できるようにデザインされています。みなさんにコミュニティに参加していただくには,使い方が簡単であることが重要だと川原氏はおっしゃいます。

それが具現化されているのがLG3DのAPIなのです。

Hands on Lab Hands on Lab
Hands on Labの様子 ディスプレイにはLG3Dが

Night for Java Technology

今回のJavaOneで,川原氏を含めたLG3Dコミュニティがかかわったのは上記の三つの活動なのですが,意外なところでLG3Dを見ることができました。

それがNight for Java Technologyというお祭りイベントです。

Night for Java Technologyは毎年趣向が凝らされていますが,今年は格闘技のK-1をモチーフにした「J-1」が行われました。10人の格闘家が階級別にアプリケーションで対戦するというものです。試合の時間はたった5分間。短い時間を有効に使って,アプリケーションの魅力をアピールできた方が勝負を制します。

このJ-1の出場者10人のうち,なんと4人がLG3D上で動作するアプリケーションで対戦に挑んだのです。LG3D対戦はなかったので,5試合のうち,4試合にLG3Dが用いられたことになります。

なぜ,これだけLG3Dが集まってしまったのでしょうか。もちろん,見栄えがいいという理由もあるとは思います。

しかし,それ以外の要素も大きいのではないのでしょうか。

自分の経験も含めて言うのですが,LG3Dを触っていると夢がふくらむのです。「こんなことできないだろうか,あんなことできないだろうか」と。まるで,新しいおもちゃを買ってもらった子供のようです。

その夢がしぼむことなく,具現化できるのがLG3Dの魅力でもあると思います。

表3 Night for Java Technology にLG3Dをひっさげて参戦した出場者(対戦順,敬称略)

タイトル 発表者 内容
Mobile LG3D 西島 栄太郎

携帯電話へのLG3Dの移植
CDのイメージを見ながら,着うたを聞くアプリケーションや,3DのDukeのアニメーションを可能に

Ibrik Presentation Toolkit 西本 圭佑 プレゼンテーション・ツールを作成するためのツールキット
deepsonar iridic 福田 善文 リアルな形状を持つターンテーブルを操作する3DJツール
複数のターンテーブルの操作やスクラッチも可能
LgDuke 井上 詠治 DukeのぬいぐるみとLG3D内に表示されるDukeをシンクロさせるシステム
ぬいぐるみにはセンサーが取りつけられ,センサーの応答に応じてLG3D内のDukeがサングラスをかけるなどのアクションを取る

Night for Java Technology Night for Java Technology
10人の出場者たち 会場中央に設置されたリング
Night for Java Technology Night for Java Technology
エキビション・マッチもおこなわれた 司会はリングアナ
Mobile LG3D Mobile LG3D
Mobile LG3D Mobile LG3D
Ibrik Presentation Toolkit Ibrik Presentation Toolkit
Ibrik Presentation Toolkit Ibrik Presentation Toolkit
deepsonar iridic deepsonar iridic
deepsonar iridic deepsonar iridic
LgDuke LgDuke
LgDuke LgDuke

今月のまとめ

今月はLG3Dの紹介と,JavaOneでのLG3Dの活動報告だけになってしまいました。

本当はJavaOneのテクニカル・セッションやBOFで名前を挙げたアプリケーションの紹介や,プログラミングに関しても書くつもりだったのですが,そこまで言及することができませんでした。

来月は,これらについて書いてみたいと思います。

著者紹介 櫻庭祐一

横河電機の研究部門に勤務。同氏のJavaプログラマ向け情報ページ「Java in the Box」はあまりに有名