図 番号ポータビリティを実現するしくみ
図 番号ポータビリティを実現するしくみ
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 番号ポータビリティとは,契約している携帯電話会社を変えても,同じ電話番号を使い続けられるようにする制度のこと。総務省は,2006年11月ごろに開始する方針を明らかにしている。番号ポータビリティを実現するには,制度のほか,実際に契約する携帯電話会社を変更しても,同じ電話番号でつながるようにするしくみを整備しなければならない。

 従来,携帯電話を呼び出すときは,携帯電話ユーザーに割り当てられた「0A0-CDE-FGHJK」という形式の番号の「CDE」の部分(CDEコード)で接続先の携帯電話会社を判断していた。しかし,番号ポータビリティ導入後は,CDEコードで接続先の携帯電話会社を判断できなくなる。電話番号は同じでも携帯電話会社が変わっているかもしれないからだ。総務省が開催する「携帯電話の番号ポータビリティの在り方に関する研究会」では,こうした状況でも相手を呼び出すためのしくみについて方針を示している(図)。

 そこで,090-111-22222という番号を持つユーザーが携帯電話会社をA社からB社に乗り換えたケースを想定し,加入電話および携帯電話から090-111-22222を呼び出すしくみを追って見ていく。その場合,前段階として,ユーザーがA社からB社に乗り換えると,移転元のA社と移転先のB社はこの電話番号の情報をやりとりし,データベースに記録しておく。

 加入電話から090-111-22222を呼び出すと(青の1),従来通り加入電話会社の交換機がCDEコードから接続先を判断し,A社の交換機に接続する(青の1)。A社の交換機は自社のデータベースでその番号がB社に移ったことを確認すると(青の3),移転先のB社の交換機につなぎにいく(青の4)。あとはB社の交換機が携帯電話を呼び出す形になる(青の5)。

 一方,携帯電話からかける場合は,A社の交換機がデータベースを参照して移転先を確認する(茶の3)までは加入電話と同じだが,実際にB社につなぐのはA社の交換機ではない。A社の交換機は番号がB社に移転していることをデータベースで確認すると,それを発信者の携帯電話会社(図ではC社)の交換機に通知する(茶の4)。これを受けて,C社の交換機が移転先B社の交換機につなぎ直し(茶の5),携帯電話に着信させる(茶の6)。

 こうしたしくみで,契約している携帯電話会社を変えても元の電話番号で着信できるわけだ。