図1 OFDMでデータを送受信するしくみ(送信側)
図1 OFDMでデータを送受信するしくみ(送信側)
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図2 OFDMでデータを送受信するしくみ(受信側)
図2 OFDMでデータを送受信するしくみ(受信側)
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 変調方式の一種で,「直交周波数分割多重」と訳される。無線LAN(IEEE802.11a,11b,11g)のほか,中距離無線アクセスのWiMAX(ワイマックス)や地上デジタル放送にも使われている。

 しくみを一言で説明すると,たくさんの搬送波(サブキャリアと呼ばれる)を用意して,それぞれの搬送波でデータを並列に運ぶ。特徴的なのは,サブキャリアの周波数帯域がお互いに重なっても,混ざらずに受信側で分離できる点にある。サブキャリアの周波数をうまく選ぶと,サブキャリア同士を区別できるようになるわけだ。このような性質は「直交性」と呼ばれる。

 直交性を持つサブキャリア同士は,周波数帯域が重なってもその搬送波を取り出せる。このため,利用できる周波数帯域の範囲に極限までサブキャリアを詰め込める。その分同時に送れるデータ量が増え,それだけ高速化できる。

 OFDMを使った無線端末の送信側では,まず元の送信データに誤り訂正用の処理を加える。例えば,ビットの順番を入れ換えたり,誤り訂正のための冗長ビットを付け加えたりする(図1の(1))。次に,このデータをサブキャリアの数に合わせて分割する。そして,分割したデータをそれぞれのサブキャリアに割り当てる(2)。これらのサブキャリアは,先ほど説明したようにお互いに直交している。

 このサブキャリアにデータを載せるためにQAM(quadrature amplitude modulation)という変調方式を使う。こうしてデータを載せたサブキャリアは一つの信号に合成され,1本のアンテナから送り出される(3)

 受信側では,受信信号をサブキャリアごとに分ける(図2の(4))。そしてサブキャリアごとに復調して,分割されたデータを取り出す(5)。最後に分割されたデータを統合して元のデータを再現する(6)