「自分はスキルフルな営業ではない。だから、フェイス・ツー・フェイスで顔をつき合わせ、きっちりとコミュニケーションをとるよう心がけている」。こう語るのは、日本オフィス・システム(NOS)の佐藤光太郎だ。佐藤は、NOSの中でも重要な“ロイヤル”顧客26社を担当し、日々受注拡大にまい進している。

 既存の顧客だからといって、簡単に受注できるという意識は全くない。とにかく客先に足を運び、信頼関係の強化に努めている。迅速な対応を欠かさないのはその1つ。「『明日まで』と言われたことは、その日のうちに回答する」のがモットーだ。客先での滞在時間の長さも佐藤ならでは。顧客と打ち合わせが終わっても、机を借り、その場で資料作りを始めてしまうこともしばしばだ。「その場で顧客とやり取りする中で、お客の経営の実態や要望を深く掘り下げられる」からだ。

 そうした関係作りが、受注拡大につながる。従来経理システムだけの取引だったある中堅製造業のユーザーでは、佐藤が担当してから、生産管理システムの導入や、ITインフラの構築・運用サービスまで、取引を大幅に拡大する案件を4社コンペに勝ち抜き、受注した。

 実は、商談途中で顧客から「他社に決まりそう」と告げられていた。それでも佐藤は食い下がり、再度のプレゼンの機会を得た。一過性ではないつき合いができることを改めてアピールする資料を作り直し、再プレゼンした。キーマンである役員にも直談判して、根回しもした。その結果、逆転受注にこぎつけたのだ。こうした粘り強い手法が取れるのも、日頃から築いた信頼関係があればこそだ。

 そんな佐藤が今、力を入れているのが、今年NOSが発売したERP(統合基幹業務システム)パッケージ「Fine Crew」の拡販。佐藤は「やっと自社ブランドができた。どんどん売ってNOSの知名度も上げていきたい。そのためには自分ももっとスキルアップしないと」と、力強く抱負を語ってくれた。

=文中敬称略

佐藤 光太郎(さとう こうたろう)氏
日本オフィス・システム
東日本営業部
第三営業部
1974年、東京都出身。日本大学経済学部を卒業後、1997年に日本オフィス・システムに入社。外資系企業の営業を担当後、99年から、製造業の顧客を担当している。営業に欠かせないツールはノート。商談中に顧客がどう反応したか、それについて自分がどう感じたかを書き込んで、自分がやるべきTo Doリストを整理する。趣味は映画鑑賞とスポーツジム通い。ジム通いを始めたのは、「これ以上太ると別れる」と彼女に宣言されたからだそうだ。