from 担当編集者(4件)
*1
日経NETWORK誌の記事では「OSI基本参照モデル」と表記しています。
*2
Roads to Nodeの「3分間NetWorking」のことですね。見てみたい人はこちらへどうぞ。
*3
意味がわからない人は,レイヤーの名前の最初の文字を,上から順番に並べてみましょう。ネットワーク系の資格試験ではレイヤーの名前を答える問題が出るので,こうやって覚えたりします。
*4
エイジさん,ゲーム好きがバレますよ!なんでもこの前,ニンテンドーDSのゲームをやりすぎて腱鞘炎になりかけたとか。

 

 皆さんはじめまして。エイジと申します。「エイジってだれ?」という人がほとんどだと思うので,まずは自己紹介。本職は,ネットワークやプログラミングの技術を教える専門学校の講師です。個人的な活動としては,「Roads to Node」というネットワークの勉強サイトを作っています。

 このコラムでは,僕がネットワークを勉強していて,思ったことや感じたことを綴っていきます。皆さんが勉強の合間に読んで,気分転換になるようなコラムにできればと思っていますので,気楽に読んでくださいね。

 今回は,ネットワークの講習会の講師をしていて感じたことを書いてみたいと思います。どんな授業でも大切なのが基礎を教えること。ネットワークの場合はOSI参照モデル*1の説明ですね。

 このOSI参照モデル,ネットワークの勉強本には必ず載っていて「重要です」と書いてあるクセして,結局なんだかわからないまま通りすぎてしまうという,謎の知識。ネットワークを初めて学ぶって人は,大体ここで1回はつまずくというお約束になっています。かく言う僕も最初は何が書いてあるかさっぱりわからなかった人間の一人です。

 OSI参照モデルってそんなに重要なのか? と聞かれれば「そこそこ」と答えてしまうくらいのモノです。実際にネットを構築したり運用するときにはそれほど気にしないかも。じゃあなんで,勉強本に必ず載っていて,僕のサイト*2でもOSI参照モデルをベースとして解説しているかというと「OSI参照モデルを知ってる人間には説明がしやすい」ってのがあるんですよね。

 例えば,「pingで何がわかるか」という話をしたとすると,OSI参照モデルを知ってる人には,「レイヤー3までの障害がわかるよ」で済むんですけど,知らない人を相手する場合は「IPアドレスの設定ミスとかケーブルや機器の障害とか…えーっとほかには…」なんて羽目になってしまう。こりゃ面倒。で,講師をするときに思うわけですよ。できればOSI参照モデルをきっちり理解してもらっておいた方が,後々の説明が楽になるなって。

 でも,OSI参照モデルって教えにくい。なぜだろう?まず用語がわかりにくい。「アプセトネデブー*3」なんて呪文*4を唱えてみたりして。ネットワークの用語って独特なものが多いせいか苦手な人が多いし。各レイヤーの説明もダメ。「伝送路の電気・信号的な特性」とか,何言ってるかわからないし。あと,レイヤー同士のつながり。そもそも各レイヤーが細かくてバラバラだから,これもむずかしい。

レイヤー攻略!エイジ流の四つの心得

 で結局,どういう結論に達したかというと。うん,いまだにわからない。でも,自分の経験から,覚える側の心得なら思いつきます。

 心得その一。アプリケーション(ブラウザとかメーラーとか)のことはきれいさっぱり忘れる。そんなんあとで考えましょう。最初に考えるとハマります。

 心得その二。「データ通信」がどうこうなんて構えない。手紙の話をしてるんだと思いこむ。宅配便でもいいです。身近な例だと理解しやすくありません?

 心得その三。順番を飛ばさない。レイヤー2の話をしている時に「いやだってメーラーだと…」などと言わない。「レイヤーは独立してる」が合言葉です。ごっちゃになりますよ!

 心得その四。結局のところ,手順の話であると理解する。

 「いやぁ,今回のトラブルの原因はレイヤー3にあるかと思いますよ」なんて言ってみたくありませんか? できる人っぽいじゃないですか。僕は言ってみたくてしょうがなかったです。


筆者紹介
ネットワークの勉強サイトRoads to Nodeの管理人。Flashで作った動画の技術解説が好評。本職は,技術系専門学校の講師。IT Proでは「シスコ資格:CCNAへの道」と題したCCNA試験対策の記事を連載中(毎週火曜日更新)。網野衛二というペンネームで執筆活動も始めている。