日本テレコムの安川新一郎インターネット・データ事業本部インターネット事業部長
日本テレコムの安川新一郎インターネット・データ事業本部インターネット事業部長
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 日本テレコムとソフトバンクBBは,全国のマクドナルド約2600店舗に公衆無線LANサービス「BBモバイルポイント」を12月1日から展開する。これはマクドナルド全店のおよそ7割に当たり,単独のチェーン店における公衆無線LANとしては日本最大の店舗数となる。日本テレコムで公衆無線LANなどインターネット事業を率いる安川インターネット事業部長に,マクドナルドへの展開の狙いと今後の戦略を聞いた。(聞き手は白井 良=日経コミュニケーション

--なぜマクドナルドへ公衆無線LANを展開するのか。

 無線LAN提供エリアを見付け出す視認性が高く,かつ人が多く集まる場所だからだ。従来の公衆無線LANサービスは,店舗内などに「無線LANが使えます」というシールが張ってあるだけ。街を出歩いているときに,どこへ行けば無線LANが使えるか分からなかった。これが利用拡大のネックになっていたと思う。しかし「マクドナルドなら必ず無線LANが使える」となれば話は違う。

 マクドナルド側にメリットがあると判断してもらえた点も大きい。数字は言えないが,過去の実験で集客効果が定量的に評価できていた。またインフラに敷設済みのソフトバンクBBのADSL(asymmetric digital subscriber line)を利用するため,構築コストがあまりかからないこともメリットだった。

--客の滞留時間が延びると店側にデメリットでは。

 公衆無線LANの利用がピークとなる時間と,マクドナルドが最も混雑する時間は異なっている。マクドナルドの方の説明では,混雑のピークは昼の1時くらいになるそうだが,公衆無線LANの利用は朝9時と夕方6時がピークとなる。

 むしろ新たなユーザー層としてビジネス・パーソンを取り込めるとの評価を得ている。彼ら,彼女らは毎日同じ場所を利用することが多く,常連化が見込めるようだ。

--サービスが利用できない店舗もあるようだが。

 ADSLのスループットが十分でない店舗や,ADSL引き込み工事が終わってない店舗があるためだ。ただし都心部はほとんどカバーできている。

--今後のエリア展開計画は。

 飲食店やコンビニエンスストア,ガソリンスタンド,スーパーマーケットなど全国チェーンで店舗を持つ企業と組んで利用エリアを広げていきたい。当面はパソコン利用者がターゲットになるので,いすと机が完備されているところになるだろう。

 だが,そこに固執するつもりはない。今後,携帯電話やディジタル・カメラ,携帯音楽プレイヤーなど,無線LAN機能を搭載した機器はさらに増えていく。こうした機器の普及が進めば,その利用シーンに合わせたエリア展開をするつもりだ。

--ソフトバンク・グループが新規参入を予定する携帯電話事業と連携する可能性はあるのか。

 現時点ではない。あくまでもパソコン利用者にとって使いやすいサービスにすることを考えて,アクセス・ポイントの設置を進めている。ただし将来的にはあるかもしれない。