図4 IETFにおける標準化作業の流れ<BR>個人や企業,IETFのワーキング・グループなどが自由に提出できる技術文書である「インターネット・ドラフト」のうち,広くインターネットで有用な技術であると判断されたものがIESGによって承認され,標準化過程(Standard Track)に進められる。
図4 IETFにおける標準化作業の流れ<BR>個人や企業,IETFのワーキング・グループなどが自由に提出できる技術文書である「インターネット・ドラフト」のうち,広くインターネットで有用な技術であると判断されたものがIESGによって承認され,標準化過程(Standard Track)に進められる。
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図5 RFCの入手方法&lt;BR&gt;IEEEやITU-Tなどの工業規格書と異なり,RFCはすべて無料で簡単にダウンロードできる。ただし,すでに有効でないRFCもすべて残されており,プロトコル名で検索しても関連RFCがたくさんヒットするような状況になるため,どれが最新の技術情報かをキチンと調べるのにはテクニックが必要になる。
図5 RFCの入手方法<BR>IEEEやITU-Tなどの工業規格書と異なり,RFCはすべて無料で簡単にダウンロードできる。ただし,すでに有効でないRFCもすべて残されており,プロトコル名で検索しても関連RFCがたくさんヒットするような状況になるため,どれが最新の技術情報かをキチンと調べるのにはテクニックが必要になる。
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「標準技術」の基準はあいまい

 そこでまずはIETFにおける標準化の流れを確認することにしよう。これがわからないと望みのRFCを探し当てるのが難しくなる。

 インターネットの標準技術を記したRFCは,およそ(図4[拡大表示])のような手順で作成される。ある技術がインターネットの標準技術になるためには,まずIETFのワーキング・グループ*などで「Internet Draft」という技術文書が作られる。このInternet DraftがIETFの関連組織であるIESG*によって有用であると認められると,その技術は「Standard Track」という標準化のためのプロセスに乗せられる。そして,Proposed Standard,Draft Standard,Standardという3ステップで標準化作業が進んでいく。このように「標準」(Standard)と名が付くRFCは3種類あるのだ。

 実は,最後のStandardまで標準化作業が進められるプロトコルはまれで,DraftあるいはProposed Standardの段階でRFCの発行が止まってしまうケースが多い。

 ただし,Standardまで進まなければ標準技術ではないということではない。例えばIP電話の基盤技術として使われているSIP*は,すでに対応製品が山のように販売されている。それなのに,SIPの仕様を記した標準文書であるRFC3261は,DraftどころかまだProposed Standardだったりするのだ。一般には,Draft Standardの段階まで進めばほぼ標準化が完了したとみなされて製品への実装が始まるケースが多い。

 さて,ここからが本題だ。試しに今出てきたSIPのRFCを入手しようと検索をかけると,70個ものRFC文書がヒットする(図5[拡大表示])。同じくIPv6を調べてみると130個もヒットする。これは,目的のプロトコル本体のほかに関連する技術や補足情報,あるいは過去のRFCなどがすべて引っかかるからだ。

 あらかじめ調べたいRFC番号やタイトルがわかっていれば問題ないが,そうでない場合は,文書同士の関連性や標準化プロセスのどの段階かという情報を基に手探りでRFCの山から最新情報を調べる必要がある。

文書同士の「つながり」を押さえる

 具体的にどうやって調べていくのか。図5のように調べたいプロトコル名などをキーワードにRFCを検索し,検索結果がずらっと表示されたら,まずは各RFCに付けられた「タイトル」と「ステータス」をチェックする。ステータスは図4で示したそのRFCがどのタイプなのかを示す情報である。この二つの情報で大まかにアタリが付けられるはずだ。番号が大きいRFCほど,より新しい文書であるということも併せて知っておこう。

 こうして大まかに候補を絞り込んだら,次は検索結果の「More Info」という項目を見る。ここにはそのRFCと関連RFCとの関係が書かれているからだ。例えば「Obsoletes」(“すたれさせる”という意味)だったらその番号で示したRFCを置き換えたことを示し,逆に「Obsoleted by」だったらその番号で示したRFCによって置き換えられたことを意味する。このように調べていくことで,最新情報*が書かれた目的のRFCを探せるはずだ。