米国の連邦議会が,優れたITセキュリティを導入している企業に優遇税制を適用する制度について議論している。現在のところ議論に過ぎないが,少なくとも議論はしている。

 悪魔は細部に宿るし,意味のないばらまき税制になる恐れもある。しかし,アイデアは悪くない。合理的な企業が手持ちの資産を守ろうとするのは,自分たちが利益を得るためだ。それ以外の動機はない。問題は,デジタル資産にかかわるセキュリティ・リスクの多くが,その資産を所有している企業にとってのリスクにならないことである。これを「外部性」と呼ぶ。そのため,企業によるデジタル資産保護の取り組みレベルを上げるには,特別な保護措置のコストを我々が支払う必要がある(少なくとも,資本主義社会ではそうしている)。我々はこのコストを,規制や義務を通じて負担できる。コストは提供される商品価格に加えられ,価格上昇につながる。特別なセキュリティ対策を講じるためのコストを直接支払うことも可能だ。小切手を切ってもよいし,免税によってでもよい。しかし,企業が良心から余計な支出を負担してくれることは期待できない。

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Copyright (c) 2005 by Bruce Schneier.


◆オリジナル記事「Tax Breaks for Good Security」
「CRYPTO-GRAM October 15, 2005」
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◆この記事は,Bruce Schneier氏の許可を得て,同氏が執筆および発行するフリーのニュース・レター「CRYPTO-GRAM」の記事を抜粋して日本語化したものです。
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◆Bruce Schneier氏は米Counterpane Internet Securityの創業者およびCTO(最高技術責任者)です。Counterpane Internet Securityはセキュリティ監視の専業ベンダーであり,国内ではインテックと提携し,監視サービス「EINS/MSS+」を提供しています。