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 東京スター銀行は金融機関としては早期に,2002年からLinuxなどのオープンソース・ソフトウエアを採用している。どのようなシステムに,なぜオープンソースを利用したのか。ヴァイスプレジデント ITグループ システム企画チームリーダー 岩渕重人氏に聞いた。(聞き手はIT Pro編集 高橋信頼)

---どのようなシステムでオープンソース・ソフトウエアを利用してい るのでしょうか。

 最初に採用したのは2002年に稼働した「営業社員インセンティブ集計システム」 で,Linux,WebサーバーのApache,Javaアプリケーション・サーバーのTomcatを採 用しました。次に構築した「債権管理サブシステム」でもLinux,Apache,Tomcatを 使っています。

 イントラネットのポータル・サイト「StarGate」ではLinux,Tomcat,ポータル・ サイト構築ツールのJetSpeed,コンテンツ管理システムのOpenCMSを利用していま す。採用にあたりOpenCMSの日本語化も行いました。今年6月からはタッド・バッジ CEOのBlogもLinux,PHP,MySQL,Apache上で稼働しています。

 もちろん,オープンソース・ソフトウエアだけでなく,OracleやWindows,UNIXも 適材適所で利用しています。社内業務のパフォーマンスを可視化するシステム 「ダッシュボード」も,Windowsサーバー上ですがPHPとPostgreSQLを利用していま す。

---オープンソース・ソフトウエアを採用した理由は。

 我々が情報システムを選択する基準は4つあります。1つは「Standard」。業界標 準に準拠しているかどうか。2点めは「Simple」。複雑なものは問題があることが多 いためです。3点めは「Speed」。機敏に解決策を提供できるかどうか。4点め は「Collaborate」。システムは「最適な機能」の「最適な組み合わせ」であり, 「連携可能」かつ「分離可能」であることが重要と考えています。

 これらの要件を,LinuxやTomcatなどのオープンソース・ソフトウエアが満たして いたことが主な採用の理由です。

 Linuxとオープンソースが人材育成のカギであることも大きな要因です。代表執行 役頭取CEOのタッド・バッジは「東京スター銀行内だけではなく,将来どこに行って も通用する人材を育成したい」と言っています。

 今や,COBOLやプロプライエタリな IT環境では優秀な人材は集まらない。我々は,将来、銀行の勘定系もLinuxのようなオープンな環境で実現できないかと 考えています。そういった大きなテーマに挑戦する,次世代のITを作っていく人材を 集め,育てたい。そして,実際に育ちつつあると感じています。

---なぜ,金融業としては先駆的にオープンソースを採用することができたのでしょ うか。

 「チャレンジさせる」という文化や価値観があるからだと思います。東京スター 銀行には「他がそうだから、こうでなければいけない」という考え方はありませ ん。他行が手がけていなくとも,合理的であればやらない理由はない。

 リスクを取 らせる。そういう文化を作り上げたCEOやCIOのリーダーシップが大きいと思いま す。