シスコシステムズが中堅・中小企業市場に急接近中だ。大企業向けの印象が強いシスコだが、昨年4月には米シスコが中堅・中小企業市場向けの大規模な投資計画を発表。それ以来、商材の開発やパートナー支援体制の拡大、教育カリキュラムの拡充などを急ピッチで進めてきた。

 日本では2005年9月21日に、従業員250人以下の企業を対象としたCisco Catalyst Express 500シリーズなどの製品群を発表。さらに、製品とサポート、リースを組み合わせた「シスコ ビジネス コミュニケーション ソリューション」を、中小企業向けと中堅企業向けにそれぞれ投入した。

 目を引くのは、シスコキャピタルによるオペレーティングリースとの組み合わせだ。資産計上せずに済む手段を提供することで、実質的な投資対効果を高める狙いがある。シスコは同じサービスをパートナー向けに提供してきた実績があり、「ほとんどのパートナーが、評価機の導入などに活用している」(吉野孝行取締役常務執行役員営業担当)という。

2次店支援部隊を大幅に強化

 100%間接販売の同社のビジネスで、中堅・中小企業向け販売を担うのは2次販売店だ。黒澤保樹社長が直轄する「コマーシャル営業本部」がその2次販売店の支援にあたる。

 同本部では、2005年春から大幅な増員を続けており、営業とSEを合わせると70人近い規模になるという。吉野取締役は「当社のパートナー営業が、各地の2次店の営業担当者などを直接支援するため」と増員の狙いを説明する。


図●シスコが中堅・中小市場攻略に向けて用意した支援体制
 コマーシャル営業本部は、週2回程度、中堅・中小企業の経営層をターゲットとしたセミナーを開催しており、そこで集まった見込み客を2次販売店に紹介し、営業を支援する([拡大表示])。

 シスコにとって中堅・中小企業は、開拓し切れていない唯一の市場だ。「中堅・中小企業における当社のシェアはおそらく25%程度」と吉野取締役は漏らす。そのため今後も2次販売店の拡充は続く。既に同社と販売契約を結んだ2次販売店は約110社。これ以外に、まだ契約していないが、シスコ製品の販売実績はあるというソリューションプロバイダが少なくとも700社近くある。今後、この中から正式な2次販売店が多数誕生する見込みだ。