写真1●Linuxマシン上で数式処理システムMathematicaを使っているところ
写真1●Linuxマシン上で数式処理システムMathematicaを使っているところ
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 中央大学理工学部数学科は2005年1月,数学教育に利用するためのLinuxシステムを導入した。「Novell Linux Desktop 9」をインストールしたクライアント・マシン118台と計10台のLinuxサーバーとWindowsサーバーを組み合わせたもの(写真1)。学部学生400人の数学教育のほか,夜間はマシンをクラスタ化し,研究者が用いる計算サーバーとして運用している。

 数学教育,論文執筆などにはプログラム開発環境やTeXシステムが必要であるため,従来からSolarisを中心としたUNIXシステムを利用してきた。Windows上でしか動作しないアプリケーションが存在するため,2001年からサーバー上でWindowsアプリケーションを実行できる米CitrixSystems社のMetaFrameを導入した。今回,「MetaFrameの運用コストが高いため,システム更新を期にLinuxと同OS上で動作するVMware Workstationの組み合わせに置き換えた」(情報環境整備センター副所長 後楽園キャンパスITセンター長の山本 慎氏)。

 新システムについては,2003年4月から検討を開始した。当初は,Red Hat Linux 9(ベータ版)とVMware Workstation 3について検証し,候補を同OSとTurbolinuxに絞っていた。その後,客員教授が利用していたSUSE LINUXを調べ,パッケージを自動アップデートできるYaSTコマンドが役立つことが分かり,候補に加えた。

 しかしながら,管理するマシンの台数が多くなるとYaSTコマンドだけでは運用できない。さらに,インターネット経由で共有ディレクトリを利用したいという要望があったことから,インベントリ管理やパッチ配布機能を中核としたシステム管理ソフト「ZENworks」と,ファイル・サーバー上のファイルとクライアント上のファイルを自動同期させる「iFolder」が利用できるNovell Linux Desktop 9を採用した。

 クライアント・マシンに搭載されたWindowsのバックアップには,米Symantec社のNorton Ghostを用いている。1台当り,約10GバイトのWindowsイメージをバックアップし,初期状態に戻している。Windowsネットワーク構成については,ActiveDirectoryを用いて設定している。5カ月間運用した結果,バックアップは4半期に1回の頻度で十分だと分かったという。

 Linuxならではの運用上の問題も起こった。ログイン後,ハングアップしてしまうというものだ。これはCD-ROMの挿入を検知するプログラムがGNOMEよりも先に起動し,かつ,数学科のシステムではGNOMEの設定をNFS上のサーバーに置く運用をしていたからである。アプリケーションの起動順序を変更することで問題を解決した。