「仕事の時間」と「個人の時間」の境界がなくなる!?
「SMAC」という言葉を、皆さんはすでにご存じだろう。
ソーシャル【S】、モバイル【M】、アナリティクス【A】、クラウド【C】の頭文字を並べたこのワードは、2013年にはIT業界を語る上で重要なものとなり、2014年に入ってからは急速な勢いで社会に普及。数年後には完全に社会に定着し、“当たり前の存在”となっていると目されている。
このSMACのうち、特にビジネスパーソンの生活に大きな影響を与えるのは【M】、つまりモバイルだろう。モバイル導入はワークスタイルを大きく変革し、日々の働き方はもちろん、外出時や在宅時の時間の使い方も大きく変える可能性があるからだ。
従来の働き方では、朝オフィスに出社してから退社するまでが仕事の時間、退社してから翌朝出社するまでが個人の時間と、1日が大きく2つに分けられていた。仕事の時間と個人の時間が入り交じることは、原則としてなかったのだ。
しかし、モバイルの普及によって、こうした概念は変わることになる。モバイルシフトしたワークスタイルでは、特定の時間や場所に縛られることなく、移動時間や自宅にいる間にも業務を進められるようになるからだ。もちろん業務時間中に個人の用事を済ませることも、期待されている成果を達成することが前提ではあるが可能になる。その結果、ON(仕事の時間)とOFF(個人の時間)が、短いサイクルで切り替わるワークスタイルが主流になると考えられるのだ。
このような働き方に、最初は戸惑う人もいるだろう。しかし、個人の自由な裁量で、時間の使い方を決められることから、最終的には従業員の満足度も高まるはずだ
また、こうしたワークスタイルは、従業員のみならず、経営サイドから見ても大きな魅力を持っている。社員がスキマ時間を有効に使えるようになることで、会社全体の生産性向上が望めるからだ。さらに自由度の高い働き方の中から、これまでになかったクリエイティブな発想が生まれる可能性も期待できる。企業が新たな価値を生み出し、イノベーションを起こしていくには、従業員の発想力をいかに引き出せるかが重要であり、モバイルシフトはこのような課題を解決する手段にもなり得るのだ。
では、こうした新たなワークスタイルを実現するには、どのようなアプローチが必要なのか。
次ページからは、世界有数のグローバル企業、インテルの事例を通じて、働き方改革を成功させるためのポイントを探っていく。