仮想化のターゲットは「ネットワーク」へ

 クラウドの普及など、今やビジネスの根幹を支える技術として欠かせないものとなった「仮想化」。そんな中、サーバやストレージに続く次なる仮想化領域として、「ネットワーク」が注目されている。その手法として現在、データセンターを中心に活用が検討されているのが、「SDN(Software Defined Network)」と呼ばれるテクノロジーだ。

 SDNは、ネットワークを構成する機器群をソフトウェアで制御することで、ネットワークの構造や設定などを柔軟・動的に変更できるようにする技術のこと。この技術を用いれば、物理ネットワークの上に目的別の仮想ネットワークを簡単に構築することができる上、その後の変更や停止、リソース回収などもソフトウェアベースで行うことが可能になる。これにより、例えば処理ピークに応じて仮想サーバ台数を増減したりする際も、ネットワークの構成変更を素早く、自動的に行うといったことが可能。管理者の負荷を増やすことなく、ユーザーへのサービス品質向上が狙えるというわけだ。

 ところが、一見便利に思えるこのSDNには、意外な落とし穴がある。

 例えば、クラウドサービス事業者のデータセンターの場合。一般的なネットワーク構成を図1に示すと、現在のSDNは、ほとんどがこのうちの「レイヤー2-3」のレベルで進められている。しかし、実際のクラウドサービスでは、ユーザーの要望に応じて、ロードバランサやファイアウォールといった「レイヤー4-7」のネットワークサービスを個別に提供するといった、より広いレイヤーにわたる運用が必要なケースが多い。

 このレイヤー4-7のネットワークサービスを担う製品は、それぞれ単一の機能を持つアプライアンスとして提供されることが一般的だ。そのため、サービスの利用者数が増えれば、物理的な機器数も増える。結果、それがコストの増大やネットワーク構成の複雑化という問題を生み、SDNによる柔軟性や迅速性、運用管理負荷の低減といったメリットを打ち消してしまうケースが多いのである。

 こうした状況を回避し、SDNのメリットを存分に享受できる環境を実現するには、どんなアプローチが必要なのだろうか。

図1●一般的なネットワークおよびクラウドの構成図
サーバ、ストレージ、ネットワークの仮想化が進むことで、レイヤー4-7に位置付けられるネットワークサービスの仮想化が、これからの重要テーマになってくる

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