VDIで変わる設計・製造部門のワークスタイル

 現在、ワークスタイルは、時間や場所に縛られない、よりフレキシブルなものへと変わりつつある。背景には、スマートフォンやタブレット端末の急速な普及などが挙げられるが、仮想化技術の進展もこの流れを加速している。具体的には、デスクトップを仮想化する「VDI(Virtual Desktop Infrastructure)」の利用拡大だ。

 VDIを利用すれば、ユーザーはどこにいても、どの端末からでも、常に自分のデスクトップ環境に自由にアクセスできる。しかも、データは端末ではなくサーバーに格納されるため、管理を一元化でき、セキュリティ面も強化できる。

 しかし、この潮流の “蚊帳の外”に置かれてしまっている職種・部門もある。顕著なのが製造業の設計・開発部門だ。

 障壁となっているのが、3D CADやシミュレーションソフトなどの存在である。これらのソフトウエアを動かすには高度なグラフィックス性能を持つGPUが必要となるが、それを仮想デスクトップ環境で有効に機能させる仕組みが十分に進化していなかったのだ。

 仮に3D CADのVDI化を実現できれば、エンジニアたちのワークスタイルを大きく変革し、ものづくりに様々な革新をもたらすことができる。例えば、ノートPCやタブレットを利用して、これまで難しかった3D CADモデルを確認しながらの会議を柔軟に実施。顧客へのプレゼンに3D CADモデルを利用すれば、より明確に設計の意図を伝えることができる。製造工程でも、工場内で3Dモデルを確認しながら、設計者と製造担当者が柔軟に打ち合わせをすることもできるだろう。これにより、品質向上や開発・製造プロセスの短期化が期待できる。

 また、設計者などが自宅やサテライトオフィスでも業務を行えるようになれば、彼らのワークライフバランスの向上にもつながる。競争力の一翼を担うエンジニアたちに働きやすい環境を提供することで、優秀な人材の流出を阻止できるなど、様々な効果が期待できる。

 3D CADのVDI化は、管理側にもメリットがある。設計・製造現場には、様々な機密情報があるが、前述したように個々の端末に重要データを残さずに済むため、情報漏洩リスクが低下する。

 では、3D CAD VDIを実現するには、どのような製品を利用し、システムを構成すればよいのか。実は先進的な企業は、すでに3D CAD VDIの導入を始めているという。この分野において、積極的なソリューション提供を行っているシスコ、ネットアップ、エヌビディアの3社のキーマンに話を聞いた。

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