小型・軽量な機動力と、Windows端末としての使い勝手を両立させたWindows 8.1搭載タブレットの活用が広がっている。3Dモデルで建物を設計・施工するBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の第一人者である建築家の池田雅信氏に、「Dell Venue Pro」シリーズを約1カ月間試用していただき、プレゼンや施工現場でのタブレット活用法を聞いた。(聞き手は建設ITジャーナリスト、家入龍太氏)
建物の“3D断面ビュー”を現場で見る
Windows 8.1対応のタブレット、「Dell Venue 11 Pro」(以下Venue 11 Pro)と「Dell Venue 8 Pro」(以下、Venue 8 Pro)は、BIMを使った実務にどう使えますか。

一級建築士
池田 雅信 氏
64ビット版の「Venue 11 Pro」は第4世代インテル® Core™ i5 プロセッサーを搭載でき、OSにはWindows 8.1を採用しています。そのため、私が日ごろデスクトップ型のワークステーションで使っているBIMソフト「ArchiCAD」をそのまま起動し、オリジナルの建物データを開くことができました。
今後、ArchiCADがタブレット対応になれば、指での操作による設計変更なども行いやすくなることが期待できそうですね。
一方、コンパクトな「Venue 8 Pro」は32ビット版でCPUには省エネ型のインテル® Atom™ プロセッサーを採用しています。しかし、「Tekla BIMsight」(以下BIMsight)という高機能のタブレット対応BIMモデルビューワーで、数百メガバイトの住宅のBIMモデルデータを開いて、軽快に操作することができました。
このビューワーは無償で公開されているものですが、複数のBIMモデルや3Dモデルを「IFC形式」というBIM用の共通フォーマットで読み込み、部材同士の干渉チェックなどが行えるものです。
タブレットで一般のBIMソフトが立ち上がる時代になったとはビックリですね。BIMsightも両機種で軽快に動いたそうですが、どんな使い方ができそうですか。
例えばこの住宅のBIMモデルには、建物の外観や内装のほか、様々な配管、基礎杭や鉄骨までがボルト1本に至るまで丸ごと入っています。BIMsightは3Dモデルを縦や横の任意の位置で切断し“3D断面ビュー”を自由自在に見せることができます。
そこで、Venue 11 ProやVenue 8 Proに建物のBIMモデルを入れておくと、現場でも鉄骨や杭などの構造部材、配管や電気設備、内装や外装などの位置関係が3Dで即座に確認できます。従来の総合図に相当する総合(統合)モデルとして手戻りの防止に大きく役立つでしょう。紙の図面ではなかなかこうはいきません。

