VDIが抱える意外な「弱点」とは?
VDI(Virtual Desktop Infrastructure)の利用が急速に拡大している。従来は、金融機関や自治体を中心に、端末管理負荷の削減やセキュリティ確保を目的として導入するケースが主流だったが、現在はその傾向も変化。広く一般の企業において、モビリティ向上によるワークスタイル変革を目的とした導入例が増加している。
それには理由がある。そのキーワードが、スマートデバイスの普及だ。それらを端末として活用する場合も、画面情報だけを転送するVDIなら、Android、iOSといった個別の環境向けにアプリケーションを作り替える必要がないため、短期間で導入することが可能なのだ。また端末にデータが残らないため、万一端末を紛失した際も、情報漏洩リスクを低減できる。こうした点を評価し、多くの企業がオフィスに縛られない自由度の高い業務環境を実現している。
しかし、こうした新たな状況は、一方でVDIによるデスクトップ仮想化の課題も浮き彫りにした(図1)。それが「使い勝手」である。
デスクトップ/ノートPC型のシンクライアントでの使用をベースに考えられたVDIは、デスクトップ環境全体を仮想化するもの。クライアント側のインターフェースは通常のPCと同じであることを暗黙の前提としている。しかし、タブレットやスマートフォンは、そもそものインターフェースが大きく異なる。「タッチ操作が中心」「ハードウェアキーボードやマウスを持たない」「PCに比べて画面が小さい」といった、操作面の違いが利用上のネックになるケースが増えてきたのである。「Windowsデスクトップがそのまま表示されても、ボタンサイズや配置の関係から、スタートボタンやデスクトップ上のアイコンをタップするのは難しい」といったことがその一例だ。
もちろん、VDI自体はOSとデバイスを分離し、IT活用の自由度を高める優れた手段だ。多様なデバイスの登場で現場の活用法が変化する中、こうしたメリットを引き続き享受するには、どんな方法をとる必要があるのだろうか。