1955年に創業した朝日航洋株式会社(以下、朝日航洋)は、東京都江東区に本社を構える航空事業・空間情報事業を営む企業である。Windows XPのサポート終了に伴うOSマイグレーションを、同社はWindows XP 移行サービスを活用して短期間で確実に実施。セキュリティの不安を解消し、同一OSのクライアント環境による運用管理性の向上も実現した。朝日航洋がマイグレーションに成功したポイントを解説する。

最も課題視したのは脆弱性の拡大

朝日航洋株式会社
情報システム部
部長
登井 紹公 氏

 朝日航洋は、航空事業・空間情報事業の二つを主軸に据え、ビジネスを拡大させ続けてきた。江東区新木場に本部を置く航空事業本部では、ドクターヘリ、ビジネスジェットを軸に、旅客輸送、物資輸送、航空医療搬送など幅広く展開。一方、埼玉県川越市に本部を構える空間情報事業本部は、独自のデジタル計測・解析技術に加え、情報活用・システム構築といったノウハウを強みに、航空計測や防災支援、各種空間データの作成、そして空間情報アプリケーションの開発など、多彩なサービスを提供している。

 そうした朝日航洋が経営の大前提として掲げている理念が、「航空の安全」「交通の安全」「労働の安全」、そして「情報の安全」である。中でも情報の安全については、ヘリコプター、ビジネスジェットの運航を軸とする総合航空サービス事業、並びに自治体アセット事業、防災コンサルタント事業などの空間情報サービスに関わる事業の特性から、顧客の個人情報、外部から預託された情報、そして自社内の個人情報・機密情報など、保護されるべき情報資産を安全に利用・管理・保管することに努めてきた。

朝日航洋株式会社
情報システム部システムグループ
グループリーダー
松本 康二郎 氏

 ITを活用した業務効率化に積極的に取り組む同社にとって、クライアントPCは重要なツールの一つとなる。情報システム部システムグループ グループリーダーの松本康二郎氏は、「一般的なOA業務はもちろんのこと、運航をはじめ整備、運輸といった一連の航空事業にまつわる情報を一元管理する航空事業情報システムの利用だけでなく、空間情報事業においても様々なデジタルデータを活用していることから、クライアントPCは業務に不可欠なツールとなっており、グループ会社を含め約2300台のPCが導入されています」と説明する。

 そうした中で、早急に解決すべき課題として浮上していたのが2014年4月のWindows XPのサポート終了に伴う、クライアントOSのマイグレーションだった。移行プロジェクトの中でも、Windows XPのサポート終了による影響について朝日航洋が最も課題視したのが、セキュリティ更新プログラムの提供の停止などによる脆弱性の拡大である。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。