実際、ICTインフラの安定と拡大は両立できているのか?
ビジネスの成長を支えるうえで、重要な原動力となっているICTインフラ。近年ではビジネスとICTの一体化が一段と進んだことで、業務遂行に支障をきたすような大規模障害が発生すれば、ただちに多大な損失に直結する状況が生まれている。そのため、ICTインフラを安定的に運用することは、企業にとって重要な経営課題の1つになっている。
一方で、企業のICT活用を支えるデータセンターは大規模化が進展。さらに、サーバー仮想化技術の導入も浸透し、運用管理者には、物理サーバーの台数以上に複雑な環境の管理が求められるようになっている。
こうした中、関心を集めているのが、データセンター全体を包括的に管理し、運用の最適化と安定稼働を支援する「DCIM」(Data Center Infrastructure Management:データセンターインフラ管理)である。
サーバーやストレージ、ネットワーク装置など、ICT機器の監視は、従来のデータセンター管理でも行われてきたが、DCIMではこれらに加えて、電力監視や温度監視などのファシリティ・マネジメントも含めたトータルな管理を実施。これにより大規模化・複雑化が進むデータセンター環境全体を、より効率的・安定的に運用することが可能になるのだ(図1)。
もっとも、DCIMの実現に向けては、クリアすべきハードルもある。
まず、データセンター内に設置されたマルチベンダーで構成される数多くのデバイス群を、一元的に監視できるようにしなければならない。また、物理サーバー/仮想サーバーが混在する環境を分かりやすく可視化すると同時に、ヒューマンエラーを減らすため様々な作業の自動化/省力化を支援する機能が求められる。
それでは一体、どのようにして、こうした統合的な運用監視環境を構築していけばよいのだろうか。