ワークスタイル変革は、ICT 環境の整備や風土改革によってのみ実現するものではない。社員の新しい働き方を裏付け、変化を促す原動力となる「人事制度改革」が両輪となって機能してこそ、はじめて成功をつかむことができる。
ネットワンシステムズでは、2010年から2013年までの約4年間をかけて「働き方革命」を実践。自社の働き方革命で得られたノウハウを基に、ワークスタイル変革を目指す企業をソリューション提供の面からサポートしている。そんな同社が様々な苦難を乗り越えながら実現したのが、人事制度改革だ。
そもそもネットワンシステムズがワークスタイル変革に向けた取り組みを開始したきっかけは、経営層と社員が対話する場である社員協議会において、「育児・介護と仕事の両立をはじめ、私生活をより充実させながらも会社に貢献できる働き方を検討したい」という趣旨の提案がなされたことにある。
一方で人事部側も、営業利益率10%を達成するという会社の経営目標を達成するため、「働く時間が長ければ長いほど頑張っている」という「時間思考」を、「成果を出すために仕事をする」という「成果志向」にマインドチェンジし、一人ひとりの生産性を向上したいと考えていた。
図1●「私生活を充実させ、会社に貢献する」働き方はできるのか?
さらに、一部のエンジニアを中心に長時間労働が常態化しており、コンプライアンスの問題に加え、健康障害を未然に防止する観点からも時間外労働の短縮に向けた取り組みを強化する必要に迫られていた。
こうした人事にまつわる諸制度をいかに改革し、課題を解決することで、ネットワンシステムズは働き方革命を達成することができたのか――。その過程で直面した苦労などの実例を取り上げながら、ワークスタイル変革成功のポイントを考察する。