フラッシュメモリーの低価格化などを背景に、SSD(Solid State Drive)の普及が進んでいる。HDDの構造を参考にしたSSDは使いやすいが、一方で、フラッシュメモリーそのものの性能を100%引き出すことが難しいなどの課題もある。こうした課題を解決するのが、IBMのオリジナルデザイン型の超高速フラッシュストレージ、IBM FlashSystemである。
ストレージの大容量化、CPUのパフォーマンス向上のスピードと比較すると、HDDの転送スピードの向上は緩やかなペースで進んできた。1980年から2010年にかけて、CPUのパフォーマンスは年率60%向上。これに対して、ディスクパフォーマンスは年率5%の向上にとどまっている。
日本IBMの佐野正和氏は「CPUとHDDのパフォーマンスギャップは広がるばかりです。そこで注目されているのが、フラッシュストレージ。不揮発性メモリーで高速ではありますが、HDDと比べるとギガバイト(GB)単価が高い。HDDとの価格差は縮まる傾向にあるとはいえ、2020年までに単価が逆転するとは考えにくいでしょう」と語る。
HDDの構造を参考にしたSSD 使いやすさの一方で課題も
佐野氏によると、当面はHDDとフラッシュストレージを使い分ける時期が続くという。高速性を優先するならフラッシュストレージ、コスト優先ならHDD。多くのユーザーは、両方を組み合わせて使うことになるだろう。
フラッシュストレージの一般的な実装形態はSSDである。身近なところでは、HDDを使わずSSDのみを搭載しているノートPCもある。SSDの普及は拡大しているものの、そこには課題もあると佐野氏は次のように指摘する。
「SSDはHDDを参考にした構造なので、簡単に機器に組み込めるというメリットがある半面、メモリーチップそのものの性能を100%引き出すことは難しい。また、HDDと同様に1時点1転送でスピードの制約があります。一つのSSDでRAIDなどの可用性機能は実装できませんし、SSDに搭載された複数のチップのなかの1個が壊れた場合、そのSSDは全損したことになります」
こうしたSSDの課題を克服するため、IBMはオリジナルデザイン型のフラッシュストレージを開発した。それがオールフラッシュの高速ストレージ、IBM FlashSystemである。
「IBMはフラッシュ技術に注力しており、すでに様々な成果が生まれています。代表的な成果とも言えるのが、このFlashSystem。HDDと比較してSSDがスポーツカーだとすれば、超高速アクセスを実現するFlashSystemはレーシングカーのようなものです」と佐野氏は自信を示す。