株式会社 日立製作所
ITプラットフォーム事業本部
プロダクト・ソリューション販売推進部
部長
荒井 達郎 氏

 日立製作所(以下、日立)は2004年からデスクトップ仮想化の自社導入に力を注いできた。社内活用で得た豊富な経験とノウハウは、ユーザー企業のニーズに合わせた適材適所の提案に生かされている。

 DaaS(Desktop as a Service)も含め、ソリューションの選択肢は広がっており、デスクトップ仮想化の導入はクライアントコンピューティング環境最適化の第一歩と考える必要があるという。

国内最大規模の約8万ユーザー
日立グループのデスクトップ仮想化

 堅牢なデータセンターのサーバー上にOSやアプリケーション、データなどのデスクトップ環境を置き、さまざまな端末を通してアクセスできるデスクトップ仮想化が注目を集めている。「当社のシンクライアント端末の販売も好調です。2013年第1~3四半期はモバイルシンクライアントを中心に前年に比べて3倍近く伸びました」と日立の荒井達郎氏は話す。

 こうしたニーズを先取りする格好で、日立では、2004年からいち早くデスクトップ仮想化の自社導入に力を注いできた。社内活用で得た数多くのノウハウは日立が2005年に販売を始めた「セキュアクライアントソリューション」の強化や関連製品の開発に生かされている。

 日立がデスクトップ仮想化に着目したきっかけとなったのは、PCの置き忘れや盗難による情報漏洩が社会問題になったことだ。「『情報を持つから漏洩する。持たなければ漏洩しない』というコンセプトを掲げ、ハードディスクを持たないシンクライアントを自社に導入するプロジェクトを立ち上げました」と荒井氏は説明する。

 そのプロジェクトは、PCそのものを物理的に集約する「ブレードPC方式」を、情報を持ち出す機会が多い営業担当者や管理職に支給することから始めた。その後、一つのサーバーOSを複数のエンドユーザーで共用する「ターミナルサービス方式」、VDIを活用した「仮想PC方式」といった実行環境も加え、現在、業務内容に応じてこの三つの実行環境を使い分けている。2013年3月時点で日立グループの約8万ユーザーがシンクライアント端末を利用しており、その導入件数は国内最大規模だ。

 デスクトップ仮想化の導入目的として、最近増えているのが「ワークスタイルの変革」である。ネットワーク環境さえあれば、使う場所と端末を選ばないため、IP電話やプレゼンス管理などと併用することで、社員個別の机をなくすフリーアドレスオフィスなどのワークスタイル改革の導入も進められる。実際、日立もフリーアドレスオフィスを導入し、業務効率の向上やオフィススペースの有効活用に成功している。

 また、2011年3月に発生した東日本大震災をきっかけに、「事業継続性の確保」を目的としてシンクライアントシステムを導入する企業も増えている。

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