企業が最も重視すべきIT投資分野とは

 ITシステムの役割が大きく変化しつつある。以前は、「定型業務の効率化」がその中心だったが、「全社的な情報共有」、「社内外の情報集約による意思決定迅速化」へと次第に高度化。さらに近年では、「社員のワークスタイル変革のためのコラボレーション基盤」や「業務プロセスのスピードアップ」「グローバル化への対応」「リアルタイム経営の実現」など、多岐にわたる課題の解決に貢献する存在となっている。ITがビジネスモデルに取り込まれるケースももはや珍しいものではなくなった。

 その一方で、ITシステムの役割の拡大は、コスト増大という問題も引き起こしている。複数のシステムが乱立することで、企業は大きなIT投資を余儀なくされており、運用にも膨大なコストがかかるようになった。また新規システムの構築に時間がかかることも大きな問題になっている。スピードの速さはビジネス上の大きな差別化要因になるため、システム構築も短期間で完了することが強く求められている。

 これらの課題をいかにして解決するか。この問いに対する有力な解答が、IT基盤の統合・再構築であり、国内企業の多くも、このテーマに注目している。ITRが実施する「IT投資動向調査」でも、「IT基盤の統合・再構築」が、過去3年にわたって最重要テーマになっているのである。

図1●主要なIT動向の重要度と実施率(出典:ITR「IT投資動向調査2013」)
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国内企業が最も重視しているテーマは「IT基盤の統合・再構築」であり、2015年度の実施率は82.7%に達すると予想されている。

 今後日本企業の多くが、IT基盤の統合・再構築を進めていくことになるだろう。その手法の中心となるのは、仮想化やクラウドである。しかし、適切なアプローチを行わなければ、結局使われなかったり、レスポンスや信頼性に難があったりと、高い代償を払う危険性もある。それではIT基盤の統合・再構築には、どのようなアプローチが考えられるのだろうか。

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