「すべてをデータから判断する」方針で大統領選を展開
「情報戦を制する者が、選挙戦を制する」──。2012年11月の米大統領選で、民主党・現職のオバマ大統領が共和党・ロムニー候補を激戦の末に破り、再選を果たしたのは記憶に新しい。今回の大統領選でオバマ陣営は、「すべての行動をデータで判断する」という大方針を掲げ、世論調査の結果や有権者の声、ソーシャルメディアなどの膨大なデータを素早く分析して、的確な意思決定を行った。
具体的には、ボランティアの記録や消費者、党支持者、有権者などの声、世論調査の結果、「Twitter」や「Facebook」といったソーシャルメディア(SNS)でやり取りされている意見など、すべてのデータを1カ所にまとめて分析した。例えば、オハイオ州ハミルトン郡の不在者投票を行った有権者のうち、何%がオバマ大統領に投票するかを分析したところ、57.68%という予測が得られた。「実際の結果は57.16%でしたので、実に小数点第1位までの予測精度を実現したのです」と、日本HPの相澤恵奏氏は言う。
このようにオバマ陣営はビッグデータを分析し、予測に基づいて選挙運動を実施した。勝利が予測される選挙区には手間をかけず、劣勢の選挙区に集中的に資金と人員を投入した。その結果、僅差で競っていた9つの選挙区のうち、8つの選挙区で勝利を収めた。
実は、こうしたオバマ陣営の情報戦を支えた武器が、HPのデータウェアハウス向けリアルタイム分析DBソフトウェア「HP Vertica Analytics Platform」(以下、HP Vertica)だったのである。大統領選挙を勝ち抜くためにオバマ陣営はなぜ、HP Verticaを選んだのか。以下、その理由を探ってみよう。