「動いて当たり前」のシステムをいかに実現するか

ニュートン・コンサルティング株式会社
代表取締役社長
副島 一也 氏

東日本大震災以降、システム基盤構築には、データ保護、システム復旧などのBCP/DR対策の検討が、必ずと言っていいほど含まれるようになっている。そこで、ここではBCP/DR対策強化のポイントを検証。多くの企業にリスクマネジメントに関するコンサルティングサービスを提供してきたニュートン・コンサルティングの副島 一也氏、そして、データ保護/復旧ソリューションを提供するファルコンストア・ジャパンの奥村 泰志氏に話を聞いた。

――東日本大震災を契機として、企業のBCPをめぐる意識はどのように変化してきているでしょうか。

副島:従来から、経営者にとって有事に向けた事業継続性の確保は重要なテーマとなっていました。しかし、震災によって多くの問題が噴出し、事業の継続に支障をきたしてしまった。そうした経験によって“備え”の重要性を再認識し、いまいちどBCPの見直しに着手した企業は多いようです。
 一方、業務の停滞などに対する心配はあっても、情報システムに関しては、いまだに「動いて当たり前」と考えている経営者も多い。「ITは動く」という前提なので、ITの復旧プロセスやコストにおける検討の必要性が認識されていません。そうした状況に対し、多くのIT部門が危機感を抱いています。

ファルコンストア・ジャパン株式会社
代表取締役
奥村 泰志 氏

奥村:実際、震災時に多くのシステムが停止してしまいましたからね。BCPやBCM(事業継続マネジメント)をプロジェクト化していても、ITまでを含んだ施策を検討していたケースが少なかったのでしょう。震災直後、そうした課題を認識した企業から当社への問い合わせが急激に増え、今ではシステム基盤やストレージ再構築の際にはBCP/DR対策を検討することが当たり前になっています。

副島:IT部門は経営陣に、ITのリスクを伝える必要があります。そのうえで、経営陣が、何がどこまで必要なのか、ということを判断するべきです。
 例えば、全システムを二重化しておけば確かに安心ですが、経済的合理性という観点からは現実的とはいえません。適正な規模の投資によって、有事にも確実に業務を復旧できるソリューションが求められているわけです。

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