アプリ移行のリスクがOS移行の大きな足かせに
Windows XPのサポート完全終了まで、いよいよあと1年余りになった。
サポート切れのOSを使い続けることは、セキュリティリスクを高め、管理の手間も増大する。できるだけ早期に“世代交代”を進めるべきところだが、企業側の腰は重い。依然としてWindows XPを使い続けるユーザー企業が少なくないことが現実だ。その理由はどこにあるのだろうか。
ノークリサーチの調査によると、「リースやレンタルの契約期間が残っている」「耐用年数の限界に達していない」といった、ハードウエア資産の継承や保護を目的とした理由が総じて多く挙げられているが、「OSを変えると業務システムに支障が生じる」といった深刻な理由も、3割前後に上っている。
企業には様々な業務が存在し、それらの業務を支える多数のアプリケーションがある。OSを移行する際は、すべてのアプリケーションの動作検証を行い、互換性を確認する必要がある。その作業はIT部門だけでは手に余る。
多数のアプリケーションが備える多様な機能について一つひとつ検証していくには、アプリ開発者に加え、利用に精通した現場社員の協力が欠かせない。そのため手間と時間をかけた“人海戦術”に頼らざるを得ないのが実情だ。検証の結果、問題が見つかれば、アプリケーションの改修や移行なども必要になってくる。それらに要するコスト負担は決して小さなものではない。
こういった課題の「回避策」として、上述の通り「とにかくWindows XPを使い続ける」ことが広く行われているわけだが、残念ながらこの方法はもう長く使えない。Windows XPのサポート終了後はセキュリティパッチも提供されず、新たに発見された脆弱性は放置されることになる。標的型攻撃や遠隔操作ウィルスなど、深刻なセキュリティ侵害が多発している昨今、脆弱性を放置することは、企業の社会的な責任として許されることではない。
それでは、OSの脆弱性によるセキュリティリスクを回避し、アプリケーション検証・改修に伴う手間とコストを最小限にするにどうすればよいのだろうか。本稿では一つの画期的な方法を紹介したい。