2011年、テレワーカーの数は1300万人に
近年、テレワークへの注目度が高まっている。テレワークとは、ITを活用し、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を実践すること。1980年代の富士ゼロックスでいち早くテレワークに取り組み、現在は日本テレワーク協会会長を務める有馬 利男氏は、その動向について以下のように説明する。
「テレワークには、『在宅勤務』『サテライトオフィス勤務』『モバイルワーク』という3種類の形態があります。国土交通省の『テレワーク実態調査』によると、在宅型のテレワーカーは2011年に490万人に達し、これにモバイルワーカーを加えると約1300万人。合計すると就業人口全体の20%近くに相当します」
テレワーク導入を検討する企業からの問い合わせも、この1~2年で急増している。日本テレワーク協会では厚生労働省の委託で、テレワークに関する相談窓口を設けているが、ここに相談を寄せた2011年の企業数は、それ以前に比べて5割以上も増えているという。政府もテレワーク推進に積極的だ。2009年に策定された「i-Japan戦略2015」では、在宅型テレワーカーを2015年までに700万人にすることが目指されている。
テレワークは決して新しいテーマではない。それが近年になって急速に注目されている理由はなぜなのだろうか。「やはり、先の東日本大震災の影響が大きいと思います。それを1つのきっかけにして、テレワークが従業員、経営者、そして社会的にも様々なメリットをもたらすことが改めて認知され始めたのでしょう」と有馬氏は指摘する。