26時間を2分に短縮し、データ活用の可能性を広げる

 大量のデータはあるものの、処理が追いつかないためにビジネスに活用できない。企業活動のIT依存度が高まり、飛び交う情報が爆発的に増えるとともに、そういう状況は増えてくる。すでに、そういう悩みを抱えている企業も多いだろう。

 ニューヨーク証券取引所とユーロネクストの合併で誕生した世界最大の株式市場運営会社である「NYSE Euronext」も同じ悩みを抱えていた。

 NYSE Euronextでは、1日あたり約3~4テラバイトのトランザクションデータが発生し、データベースに蓄積されている12カ月分の取引明細データは約2.5ペタバイトにも膨らむ。しかも、このデータ量は毎年2倍以上のペースで増えつつある。

 これらの取引明細データはNYSE Euronextにとってビジネスの生命線とも言えるものだ。データを分析することで不正利用を検知するとともに、市場動向を把握することもできる。それは株式市場を運営する企業にとっての「鍵」となるサービスである。

 しかし、大きな問題があった。データ処理が追いつかないのだ。リサーチ用の詳細クエリーの処理には26時間もかかり、簡単な不正検知用クエリーでさえ1クエリーあたり7分もかかっていた。これでは現実的な対応は難しい。

 そこでNYSE Euronextは、システムを再構築するという決断を下す。システム全体をリプレースして、データウェアハウス専用のマシンを導入したのだ。その結果、26時間が2.14分になり、7分が5秒に短縮された。劇的な変化である。しかも、既存のアプリケーションをほとんど変更することなく、データ移行を含めて2.5カ月でカットオーバーすることができた。

 データ処理の速度はデータ活用の姿を変え、ビジネスのあり方自体も変えていく。それがプラットフォームを変更するだけで実現されることもある。それを実現したのが、データウェアハウス専用アプライアンスだ。

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