テクノロジーを医療現場に適用し、新生児ケアの飛躍的な改善を実現

 テクノロジーの進化によって、医療分野ではさまざまなモニタリングが行われるようになった。血圧、心拍数、体温といったバイタル・サインは、医療モニタリング機器によって継続的に収集され、大きな成果を上げている。

 しかし、このようにリアルタイムに収集されたデータが十分に活用できていない、という指摘もある。大量の測定データが集められている一方で、あまりにもデータ量が多すぎて人間による分析が間に合わず、体調の変化の兆候が見逃されてしまうケースもあるという。

 「人間の能力で間に合わないのであれば、コンピュータでデータを分析することでその異変を検知することはできないだろうか」――。カナダを本拠地とするオンタリオ工科大学では、こうした視点から課題解決に向けた取り組みが行われている。

 

 同大学の新生児の集中治療室には多くの医療モニタリング機器が設置され、7~16もの異なる情報源から毎秒約1000件に及ぶ測定データが生成される。そのデータをリアルタイムに分析することは人間には不可能だ。そこで同大学では、測定データを収集・分析して、心肺停止や院内感染などの新生児の体調異変の兆候を見出し、医療チームに警告を通知するシステムを導入した。

 同大学ではこのシステムによって、生命を脅かす予兆を最大24時間も早く検知することができるようになり、新生児ケアを飛躍的に改善することができたという。ここで使われているのが“ストリーミング・コンピューティング”という先進テクノロジーである。大量のデータをリアルタイムに分析できるこのテクノロジーよって、データ活用の新たな分野が広がりつつある。以降では、その先進テクノロジーの仕組みと活用例について解説する。

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