IT戦略において、クラウドをいかに有効活用するかが大きなテーマとなっている。中でも、基幹システムについては、慎重な判断を求める声が多い。そうした中、パブリッククラウドを利用し、基幹システムを全面移行することを決めたのがタナカ印刷である。安全性について、同社はどのような判断をしたのか。クラウドを利用することで、開発業務はどう変わるのか。プラットフォームに採用された「ニフティクラウド」を提供するニフティの上野 貴也氏がタナカ印刷の岡 充広氏、佐藤 聖氏に話を聞いた。

使い続けた基幹システムのクラウド化を決意

タナカ印刷株式会社
取締役 営業本部 部長
岡 充広氏

上野 現在の御社のビジネスの状況、ならびに基幹システムをパブリッククラウドに移行する経緯についてお聞かせ下さい。

 印刷業を中心に、現在は電子書籍やホームページ、デジタルサイネージ広告のデザイン制作を行っています。また、近年、お客様の要望に応じるかたちでITサービス事業にも業容を拡大しており、メルマガ配信システム、アンケートシステム、在庫管理システムなどの開発・提供も行っています。

 これらの事業を根底で支えているのが、当社の基幹システムです。営業や経理、原価管理・購買管理をはじめ、印刷や制作の工程管理など、あらゆる業務をクライアントサーバー型の基幹システムに集約しています。

 しかし、構築から15年を経た基幹システムは、改修につぐ改修で複雑化。当社のビジネスには非常にフィットしているものの、運用管理コストが年々肥大化していました。さらに昔の技術をベースとしているため、新しい機能を取りいれることも困難になっていました。

ニフティ株式会社
クラウド事業部
クラウドビジネス部 部長
上野 貴也氏

 こうした問題を解消するため、システム刷新を決定。同時に新基幹システムをパブリッククラウドサービス上へ移行することを目指したのです。

上野 これまで、クラウドはグループウェアやファイルサーバーといった領域での利用が主流でした。しかし、最近は、タナカ印刷様のように、基幹システムのクラウド化にチャレンジされるお客様も出てきています。背景には、人材やコストのコア業務への集中、適正なコストでのITリソースの柔軟な活用、IT基盤の標準化、BCP対策といった狙いがあるようです。

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