nanapi代表取締役の古川健介氏 (写真=室川イサオ)
nanapi代表取締役の古川健介氏 (写真=室川イサオ)

 2014年6月18日に開かれた「FailCon Japan」で、CGM(消費者生成メディア)事業での失敗体験を軽妙に語ったのは、nanapi代表取締役の古川健介氏(写真)だ。同氏は、19歳で初めて起業し、以来、複数のCGMサービスを立ち上げてきた。講演では、それぞれのサービスにおける失敗談を披露した。

 同氏が最初に始めたサービスは、「ミルクカフェ」と呼ばれる、中高生向けの匿名掲示板である。主に受験に関する情報を交換する場として活用されている。

相次ぐ損害賠償、総額6800万円にも

 ここでの失敗は、管理者である古川氏が掲示板内の発言内容に責任を追うことにしてしまったこと。ミルクカフェでは、学校や予備校、あるいはトピック、テーマごとにスレッドが立ち、そこに同じ興味を持った人たちが集まり、好きに書き込んでいく。当然そこには「あの先生、教え方下手だね」といった、個人や組織を名指しした誹謗、批判的な発言も含まれる。

 古川氏としては、学生からの発言を増やしたいため、発言内容について全部管理者責任にしていたのだが、その結果「めっちゃ責任を負わされた」。総額6800万円にも上る損害賠償請求や100通以上にもなる警察からの捜査関係事項証明証、政治団体からの圧力などが相次いだというのだ。

 ミルクカフェの経験を踏まえて立ち上げた次のサービスが、レンタル掲示板サービス「したらば掲示板」。このサービスでは、ミルクカフェとは反対に、責任の所在は掲示板をレンタル利用するユーザー自身とした。

 だれでも無料で掲示板を作ることができるというコンセプトが受け、したらば掲示板は順調に成長。「2003年には国内で100番めくらいにアクセス数が多いサイトになった」(古川氏)というが、問題が生じた。掲示板を立ち上げたユーザーは、自身の掲示板への愛着が強く、運営者が広告を入れにくくなってしまったのだ。

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